...然れば隠れたるに鑒(み)たまう神は天使と天の万軍との前に顕明(あらわ)に報い給うべしとのことである(同六章四節)...
内村鑑三 「聖書の読方」
...猿の吉兵衛は主人の恩に報いるはこの時と...
太宰治 「新釈諸国噺」
...あなたの御情にお報いしたくて...
太宰治 「清貧譚」
...父の仇(あだ)を最も皮肉な遣(や)り方で報いようとする覚悟だと見える...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...そは天におけるなんじらの報いはなはだ多かるべければなり」と言ったからである...
永井隆 「この子を残して」
...漂浪を続けているかと申しまするに……彼等はその昔切支丹宗(きりしたんしゅう)の救い主を殺した罪の報いによって...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが、まずいうちに文字に頓着しない豪放の気象が現われないでもないから、神尾は辛抱して、「文武を以て農事と思うべし」などと聖人のようなことを言い、「庭へは諸木を植えず、畑をこしらえ農事をもすべし、百姓の情を知る、世間の人情に通達して、心に納めて外へ出さず守るべし」などと教訓し、おれも支配から押しこめに会って、はじめは人を怨(うら)んだが、よく考えてみると、みんな火元は自分だと観念し、罪ほろぼしに毎晩法華経を読んで、人善かれと祈っているから、そのせいか、このごろは身体(からだ)も丈夫になって、家内も円満無事、一言のいさかいもなく、毎日笑って暮らしている、というようなことで――読んで行くと、自分は箸にも棒にもかからぬ放埒者(ほうらつもの)だが、これでも、人を助けたり、金銀を散じたりしたこともある、その報いか、子供たちがよくしてくれる、ことに義邦(よしくに)(麟太郎)は出来がよくて、孝心が深く、苦学力行しているから、おれは楽隠居でいられる、おれがような子供が出来た日には両親は災難だが、子孫みな義邦のように心がけるがいいぜ、と親心を現わしたところもあるし、女の子は幾つ幾つになったら、何を学べ彼(か)を習えと、たんねんに教えてみたり、そうかと思えば、序文は一つの懺悔になっていて、その結びが、「子々孫々ともかたくおれがいうことを用ゆべし先にもいう通りなれば之(これ)までもなんにも文字のむずかしい事は読めぬからここにかくにもかなのちがいも多くあるからよくよく考えてよむべし天保十四年寅年の初冬於鶯谷庵かきつづりぬ左衛門太郎入道...
中里介山 「大菩薩峠」
...もつと楽しんで叔父様や叔母様の御好意に充分お報いするのだつたと思つた...
平山千代子 「お泊り」
...長い間の血を見る程な悪戦苦闘も皇后を一瞥しただけで容易に報いられた...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...大きな感謝を持って報いられ...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
...これでしし食うた報いの意が解けた...
南方熊楠 「十二支考」
...市民としての義務によると仇を討つものは首をはねられる(その名誉の上に加えられた非礼に報いようとして法に訴えると...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...王侯がたがその仁慈と公正とに対して大きくて確実な報いを期待しうることはなかった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...君の裏切りに報いるところがあったとしても...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...まったくいつもそんなことを考えては千鶴子に近づいていた報いが...
横光利一 「旅愁」
...この国に報いえた生とすれば...
吉川英治 「私本太平記」
...(五)善行をなすものが現世において報いられず...
和辻哲郎 「鎖国」
...その報いは信長の方から受けなくてはならない...
和辻哲郎 「鎖国」
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