...広子はそう云う篤介と一しょに純粋な妹を考えるのは考えるのに堪えない心もちがした...
芥川龍之介 「春」
...……定子……葉子はもうその笞(しもと)には堪えないというように頭を振って...
有島武郎 「或る女」
...実に気の毒に堪えぬではないか」をきっかけに熱弁を振(ふる)うこと十五分...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...この上兄とこんな下らぬ会話を交えているには堪えられなくなってきた...
橘外男 「逗子物語」
...忽ちそう感じて湧々(わくわく)する胸を撫でるように堪えながら...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...家じゅうの畳をよごされるのは私には堪え難い不愉快であった...
寺田寅彦 「子猫」
...そのために彼らはいらだちと堪えがたい恥ずかしさとに陥った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...到底行を共にするに堪えないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...堪えられないことに思われるのでした...
長谷川時雨 「九条武子」
...仮令不可抗な運命だったとは言え良心の苛責に堪えない彼女は...
細井和喜蔵 「女給」
...奇異の念に堪えざりしものに候...
武者金吉 「地震なまず」
...胸の痛みの時々起こるおりなども堪えがたそうな苦しみが見えた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...僕は憤懣(ふんまん)に堪えない...
森鴎外 「かのように」
...様々な心配や不安に堪えるだけの力を持たず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...実際「上手物」は使用に堪えないほど軟弱なものが多いではないか...
柳宗悦 「工藝の道」
...強く捕えているにも堪えないで手を離すと...
吉川英治 「江戸三国志」
...よろこびに堪えず...
吉川英治 「三国志」
...苦痛に堪える力の貴さや罪悪の意義や人類的な理念やなどに対する作者の無理解と...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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