...想ふ、彼が独り京洛の路上に立ちて、平門の貴公子が琵琶を抱いて落花に対するを望める時、殿上の卿相が玉笛を吹いて春に和せるを仰げる時、はた入道相国が輦車を駆り、兵仗を従へ、儀衛堂々として、濶歩せるを眺めし時、必ずや、彼は其胸中に幾度か我とつて代らむと叫びしなるべし...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...体格は頗る堂々としてゐる...
芥川龍之介 「結婚難並びに恋愛難」
...この堂々として赤裸々たる処が却つて敵をして矢を放たしむる的となつた所以(ゆゑん)であつたのだ...
石川啄木 「雲は天才である」
...この堂々として赤裸々たる處が却つて敵をして矢を放たしむる的となつた所以であつたのだ...
石川啄木 「雲は天才である」
...堂々として其思想を忌憚なく発露するを得せしめて後初めて文学の発達を計る事が出来る...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...彼等がもう正々堂々として戦いができなくなった時...
ピョートル・アレクセーヴィッチ・クロポトキン Pyotr Alekseevich Kropotkin 大杉栄訳 「革命の研究」
...外ヶ浜全線を通じていちばん堂々として目立つ建築物の一つであらう...
太宰治 「津軽」
...着眼点が堂々としているだろう...
戸坂潤 「社会時評」
...どれだけ堂々として立派かわからない...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...僧形の同職が先以(まずもっ)て言いけらく、「いかがでござる、道庵先生、木曾街道の印象は……」「悪くないね」道庵が仔細らしく杯(さかずき)を下へ置いて、「第一、この森林の美というものが天下に類がないね……尤(もっと)も、ここに天下というのは日本のことだよ、日本だけのことだよ、同じ天下でも支那のことは知らねえ、崑崙山(こんろんさん)や、長江(ちょうこう)の奥なんぞは知らねえ、アメリカのことも知らねえ、日本だけの天下ではまず……といったところで、薩摩の果てや、蝦夷松前(えぞまつまえ)のことは知らねえ、甚(はなは)だお恥かしいわけのものだが、まず愚老の知っている範囲で、木曾の森林にまさる森林は、限られたる天下にはあるまいね」「御尤(ごもっと)ものお説でございます、森林の美は木曾にまされるところなしとは、先生のお説のみならず、一般の定評のようでございます」「そうだろう、第一、色が違わあね、この堂々として、真黒な色を帯びた林相というものが、ほかの地方には無(ね)え」「樹木の性質と、年齢とが違いますからね...
中里介山 「大菩薩峠」
...捕縛いたすぞよ」堂々として...
中里介山 「大菩薩峠」
...家は古風で、堂々として、表掛りは平次もよく知つて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...威風堂々としているかを見よ...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...余り堂々としていてどんな花も似合わないようだった古九谷の花瓶に白い菊をさして飾りました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...シッカリと堂々として...
三好十郎 「恐怖の季節」
...みごとに堂々としている...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「小仏の関所ではなんの故障もなかった、道中規則はちゃんと守っている、大老柳沢侯の荷駄である、しかもこの関所に至って、急に検察の命令が来たとなると、その理由や出所を訊(き)くのは当然ではないか」「しかしそれは、この荷駄に限って、というわけではないので」「まぎらわしいことを云うな、そこもとはこの関所の関守であろう」来太は喚きだした、「しだいによっては江戸へ戻り、老中、大目付へ訴えて出る、その急使の出どころと、出した者の名を聞こう、それまでは断じてここを動かんぞ」一般的にいって、不正なことをする人間ほど、威たけだかで、堂々として、正義派めいた口をきくようである...
山本周五郎 「山彦乙女」
...船長よりも風采が堂々としていた...
夢野久作 「幽霊と推進機」
便利!手書き漢字入力検索