...小八は落ちてきた熟柿(じゅくし)でも執るように女を己(じぶん)の処へ伴(つ)れて来た...
田中貢太郎 「立山の亡者宿」
...それに夜になって人の家の庭前(にわさき)などへ来て角力なんか執るものではない...
田中貢太郎 「庭の怪」
...その厄介(やっかい)な手紙の筆を執るために戻って来たのでもあるが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...箸(はし)を執るのがとかく憂鬱(ゆううつ)でならなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...翌日はもうペンを執る力もありませんでした...
豊島与志雄 「アフリカのスタンレー」
...賤妓を待つ間の退屈しのぎに筆をチャブ台(だい)の上に執る...
永井荷風 「桑中喜語」
...平生の代助がこの際に執るべき方針は云わずして明らかであった...
夏目漱石 「それから」
...扨(さて)爾う云う方針を執るとして...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...平和な夜食を執ることが出来た...
牧野信一 「川を遡りて」
...彼は私を見出し次第責任を問うて私の胸倉を執るに相違ないのだ...
牧野信一 「ゼーロン」
...チットモ心を落ち付けて筆を執る暇がない...
牧野富太郎 「植物記」
...予かつて庭に遊ぶ蟹に一片の香の物を投ぐると走り寄りて右の螫(はさみ)でこれを執る...
南方熊楠 「十二支考」
...また一片を投ぐると左の螫で執る...
南方熊楠 「十二支考」
...ときおりペンを執るのですけれど...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...俗衆の心を執る考えがあったならば...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...その手段を執るより外に方法はないのである...
夢野久作 「暗黒公使」
...二つの間を出(い)でぬ手段を執るのみで...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...昨日私は先生について筆を執る事を約した...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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