...坂下の藪(やぶ)の姉様(あねさま)であった...
泉鏡花 「悪獣篇」
...浦子の身は、柔かに半ば起きて凭(もた)れかかると、そのまま庭へずり下りて、「ござれ、洲の股の御前、」といって、坂下の姉様、夫人の片手を...
泉鏡花 「悪獣篇」
...「中坂下からいらっしゃいます...
泉鏡花 「薄紅梅」
...御院殿(ごいんでん)の坂下で余は居士に別れた...
高浜虚子 「子規居士と余」
......
武田祐吉 「古事記」
...……・草ぼうぼうとしてこのみちのつゞくなりたゝずめば水音のはてもなし誰も通らない道とて鴉啼くぼう/\として今日の陽は照るみちはくづれたまゝとぼとぼあるくみちばたの石に腰かけ南無虚空蔵如来・誰も通らない草萌ゆる・水音のとほくちかくなりて道は・誰も通らない山みちの電信棒道がわからない石仏に首なし・山のふかさを小鳥それ/″\のうたを・このみちいくねんの栃若葉けふもいちにち山また山のさくらちる・水を飲んでは水をながめて木曽は花ざかり・山をふかめてあの声は筒鳥か木曽は南へ水もわたしも南へ行く山路ふかうして汽車の音の高うして・山や川や家や橋がある芽ぶいて雑木はうつくしいトンネル山さくらちるやびつこで重荷を負うてくる春風の水音の何を織るのか・春風の長い橋を架けかへてゐる分け入るやまいにちふんどし洗ふ・花ぐもり道とへばつんぼだつたか流れて水が街にあふるるや春上田、明治大帝御野立所お姿たふとくも大杉そそり立つ木曽はいま芽ぶくさかりのしぐれして母子(オヤコ)それ/″\薪を負うて山から戻る・たまたま詣でゝ木曽は花まつり五月七日曇――雨――曇、坂下...
種田山頭火 「旅日記」
...坂下の先方で犬が吠えた...
豊島与志雄 「猫捨坂」
...富坂下(とみざかした)の菎蒻閻魔(こんにゃくえんま)の近所に住んでいたとかいう瞽女(ごぜ)である...
永井荷風 「伝通院」
...九段坂下(ざかした)へ出(で)て...
夏目漱石 「それから」
...若旦那の源次郎を送つて飯田町中坂下まで行つた八五郎は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その先は?」「今夜四つ過ぎ人目を忍び中坂下の井戸のところまで御出で下されたく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それとも磐州祖父の世代から緊密につながったところのブルジョア的生産関係と交通関係に――関東においては坂下門事件・天狗党の幕末から福島・加波山・秩父・静岡の明治十年代自由党左派の決起に及ぶ一連の「事件」が士農工商の別なき人的構成の各末端において示し...
服部之総 「加波山」
...私は坂下の倉の店に飯を食ひに行くので...
牧野信一 「創作生活にて」
...還(かえ)りには観音坂下まで...
三宅花圃 「藪の鶯」
...そこを坂下からこちらへ十人ばかりの陸軍の兵隊が...
横光利一 「微笑」
...やがて坂下のほうに姿をみせた...
吉川英治 「私本太平記」
...坂上から――坂下から――閃々(せんせん)と勝助の身ひとつにつめよる無数の槍は...
吉川英治 「新書太閤記」
...馬麟(ばりん)も一丈青に追われ、すべての敗色はどうしようもなく、味方が味方を押して、坂下遠くの、ま南まで逃げなだれた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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