...土屋佐渡守(つちやさどのかみ)の屋敷の前に小さく「芥川(あくたがは)」と記せるのを見たまふらむ...
芥川龍之介 「臘梅」
...それから叔父さまのお土産の丸ノ内ホテルのサンドウィッチを...
太宰治 「斜陽」
...万年青の赤さがあつたしぐるゝや供養されてゐる・土蔵そのそばの柚の実も(福沢先生旧邸)・すゝき一株も植ゑてある( 〃 )座るよりよい石塔を見つけた(宇平居)これが河豚かと食べてゐる(筑紫亭句会)・河豚鍋食べつくして別れた( 〃 )・ならんで尿する空が暗い世渡りが下手くそな菊が咲きだした(闘牛児からの来信に答へて)芙蓉実となつたあなたをおもふ( 〃 )枕許に...
種田山頭火 「行乞記」
...・あすのあさの水くんでおくかなかな(追加)本妙寺・昇る陽を吸うてゐる南無妙法蓮華経・秋がきた朝風の土に播いてゐる・めつきり秋めいた風が法衣のほころび・何となく考へてゐる犬も私も草のうへ・夕立つや思ひつめてゐる・夕立が洗つていつた茄子をもぐ・夕立晴れたトマト畑に出て食べる・夕立晴るゝや夕焼くる草の葉・藁屋根はしづくする雑草はれ/″\八月廿三日今朝はすつかり秋だつた...
種田山頭火 「行乞記」
...そして庭の隅々からは枯草や落葉を燬(や)く烟が土臭いにおいを園内に漲らせていた...
永井荷風 「百花園」
...みな土下座をきってしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...これを持って浄土へおいでなさいまし」といって栗の木の杖を送り越して来たから...
中里介山 「法然行伝」
...古文真宝(こぶんしんぽう)な顔を見馴れた土佐守の眼には...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その胸から膝へ一面に附いた土埃(つちほこり)を拂つてやりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...桜餅を土産(みやげ)に帰って来ただけのことで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「彌惣と一緒に土藏の中へ入つたのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あなたがいられまする土間にひっこもってぼんやり窓からそとばかりながめるようになりました...
久生十蘭 「海豹島」
...その掠奪物の全部は彼らが極めてわずかの労働で彼らの土地から手に入れることが出来るものにも及ばないけれども...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...逆に或る者は「ロシアの土の力」自体が...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...お土産まで細心に注意して書いてあつた...
室生犀星 「京洛日記」
...そのいたましい血汐を泥土にした場所がこの辺とはいま知ったのである...
吉川英治 「私本太平記」
...書を開く手には浄土が降りてくる――ばかりでなく...
吉川英治 「随筆 新平家」
...土埃りの、どんよりと濁った層を通してのみ太陽を見、そして都会特有のねっとりとした羊羹色の夜空を悪(にく)んでいた私には、ここに移って来ると共に、南国の空とはこんなにも蒼いものであるか、と半ばあきれてしまった位であり、其処に飛ぶ、純潔な綿雲に、健康な幻想を覚えるからであった...
蘭郁二郎 「脳波操縦士」
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