...また一つには病的に良心の昂進(こうしん)するのを避けるために〇・五瓦(グラム)のアダリン錠を嚥(の)み...
芥川龍之介 「死後」
...未練も逡巡(しゅんじゅん)もぐんぐん胸の奥へ嚥(の)みこんで...
海野十三 「宇宙尖兵」
...「それはどういう意味なのかね」僕にはさっぱり嚥(の)み込めない...
海野十三 「宇宙尖兵」
...それがハッキリ現実のことだと嚥(の)みこめた...
海野十三 「恐怖の口笛」
...ではその異変というのは何であろう? それは嚥み下した水の中に...
海野十三 「三人の双生児」
...とても嚥(の)み込む事が出来ない有様になって来ました...
太宰治 「たずねびと」
...茶碗(ちゃわん)の湯で嚥(の)み下した...
徳田秋声 「黴」
...毒薬を嚥下する際にも果してあったであろうか...
豊島与志雄 「どぶろく幻想」
...嚥(の)みこんだり吐きだしたりするそうな...
久生十蘭 「奥の海」
...……実は、ここに持っている」踏絵は、えッ、と息を嚥んで、「それは、本当?……まア、なんという馬鹿な……」山木はキョトキョトと戸口の方に眼を走らせながら、「こんなところへ持ち込む気はなかったんだが、ひょんな羽目になって……」と、息をきり、「……で、有明荘を出ると真ッ直ぐに「すず本」の傍まで行ったんだが、自分で出向いて、昨夜のシャンパンの瓶をも、可笑しいと思い返して明石町の「呉竹」へ押し上り、女中に瓶を取らしてから四時ごろまで寝ころんでいたが、トイレットへ行きながら、なにげなく庭向うの四畳半を見ると、チラリと笑子とバロンセリの顔が見えた...
久生十蘭 「魔都」
...衣を着ず綿入れた蒲団を寒夜の禦(ふせ)ぎに遣ると破ってその一部分を嚥(の)んでしまったが一八五〇年九月死去した...
南方熊楠 「十二支考」
...二尺長(たけ)のが同長の蛇を嚥(の)んだところを...
南方熊楠 「十二支考」
...もしくは夢中遊行中の嚥下物(えんかぶつ)に依って刺戟せられたる悪夢より離脱し...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...唯一の記念と云ってもいい身の上なんです」こう云って唾を嚥(の)み込んだ健策の眉の間には...
夢野久作 「復讐」
...「斎藤医師の嚥下した毒物は目下分析中」という愛想(あいそう)もコソもない返事だ...
夢野久作 「無系統虎列剌」
...そのまま生唾液(なまつば)を嚥(の)み込むと...
夢野久作 「霊感!」
...生木(なまき)を裂くような酷(むご)さを胸のそこに嚥(の)みながら...
吉川英治 「黒田如水」
...熱涙を嚥(の)み合っていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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