...この仏蘭西(フランス)人の笑う様子(ようす)はちょうど人の好(い)いお伽噺(とぎばなし)の中の大男か何かの笑うようである...
芥川龍之介 「少年」
...二つ三つとお噺の数を重ねて行った...
江戸川乱歩 「お勢登場」
...―――お前の知っている噺はみんなある」「英語だとむずかしくはない? お父さんはそれをお読みになるのに幾日ぐらいかかるんです」「お父さんだって此奴をみんな読みはしないよ...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...こうしたじめじめした池沼(ちしょう)のほとりの雰囲気はいつも自分の頭のどこかに幼い頃から巣くっている色々な御伽噺(おとぎばなし)中の妖精を思い出すようである...
寺田寅彦 「雨の上高地」
...憂鬱なお伽噺なんか僕にも似合わないって……...
豊島与志雄 「鯉」
...ぬるい茶をのみながら女房がしみ/″\といふ噺をきく...
長塚節 「鉛筆日抄」
...「三井寺では子役が居ないのですかといふ聲が余の耳もとで聞えたので振りかへると余の側に立つて居た一人が相手に噺をしかけたのである...
長塚節 「佐渡が島」
...彼等(かれら)は極(きま)つた何(なん)の噺(はなし)も持(も)つて居(ゐ)ないのに快(こゝろ)よく冷(つめ)たい土(つち)に坐(すわ)つて...
長塚節 「土」
...そんでそれ娵(よめ)つちのが心底(しんてえ)のえゝ女(をんな)だつちんだからわしも欲(ほ)しいのさ本當(ほんたう)の噺(はなし)がねえ...
長塚節 「土」
...私が自分の座敷の障子を開けてはひつた時噺は少し途切れたやうであつた...
長塚節 「隣室の客」
...怪談噺(ばなし)などはこちとらには通用しねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...飛んだ馬鹿な掛け合ひ噺(ばなし)をして居たぢやないか」「――」「手輕にいきさつを白状した方が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私のお話がお伽噺じゃないことも解るでしょう...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...お伽噺の中(うち)でも好いんだから...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...柳派の首領春風亭柳枝など手堅い素噺の大家だけに...
正岡容 「小説 圓朝」
...あの噺の中で志ん生はお艶(えん)ちゃんの仄(ほの)白い顔をチラッと美しく描いてくれた...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...岩を噛む波の色までお伽噺の中の人魚を洗う波かと見える...
横光利一 「旅愁」
...夜噺(よばなし)の興があるだけだった...
吉川英治 「新書太閤記」
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