...但し此事は松太郎に対して噎(おくび)にも出さなかつた...
石川啄木 「赤痢」
...噎(む)せるやうな温かい空気が...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...噎(む)せるようだった...
徳永直 「工場新聞」
...無意識のうちに噎び泣きしていた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...むつと噎せ返して来る和やかな陽(ひかり)にあをられると...
牧野信一 「心象風景」
...濛々とする秣草のほこりに噎せ反つて...
牧野信一 「剥製」
...彼女は益々固く手につかまりながらさめざめと笛のやうな噎び唏きをはじめた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...女に分る筈のないおれの聲のかぎりの嗚噎(をえつ)が...
室生犀星 「汽車で逢つた女」
...対手(あいて)の熱い粗(あら)い呼吸に噎(む)せて叫んだ...
室生犀星 「姫たちばな」
...茶山の病が独り此消食管(せうしよくくわん)の壅塞(ようそく)即(すなはち)所謂(いはゆる)噎(かくえつ)のみではなかつたと云ふことである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...あたりの空気は噎(む)せるほども高雅な香りに満ちていた...
山本周五郎 「菊屋敷」
...やや暫らく噎びあげていたが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...装束のまま楽屋の畳の上に平伏して息も絶え絶えに噎(む)せ入ったが...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...貴方(あなた)も……」「ムフムフ……」と船長が笑いかけて煙草(たばこ)に噎(む)せた...
夢野久作 「難船小僧」
...思わず噎(む)せ返って...
夢野久作 「白椿」
...そうして噎(む)せかえるほど芳烈な...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...勢よく噴(ふ)き出る水のシブキに噎(む)せかえりながら...
夢野久作 「一足お先に」
...酒の匂ひや莨の煙がむつと噎(む)せかへる位立ちこめてゐて...
吉井勇 「酔狂録」
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