...彼女の哀憐な表情を見ると胸が苦しくなる...
...彼の哀憐な目が私たちの心を打った...
...彼女は哀憐な声をあげて泣き崩れた...
...哀憐にも、彼の困難を知っている人々は手を差し伸べた...
...彼は哀憐の神のような存在として敬われている...
...私は自己に対するこの哀憐(あいれん)の情を失うに忍びない...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...予も亦彼に對して一度も哀憐(あはれみ)を乞ふが如き言葉を出したことがない...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...世にも弱き夫が渾身の愛情を捧げて妻が一顧の哀憐を買はむとするの図は正に之である...
石川啄木 「雲は天才である」
...右七箇年の間夜白(よるひる)尽精相勤候付国中之仕置(しおき)大方相調百姓至迄富貴に罷成候儀乍憚非独力哉と存候依之根気疲果候且復老衰〔難〕致勤仕時節到来候故断申候哀憐愍被思召赦免可被下候左候而幸に二三年も存命〔中略〕候はゞ本望不可過之存候縦拾年弐拾年相勤候人も僅此中之七箇年には不可勝候頃日内証方より右断之段申上候処先以被召留候〔通〕返事被下候此趣を以而宜敷様願存候以上と申しました...
伊波普猷 「琉球史の趨勢」
...鮎子への同情、哀憐からでなく、鮎子の上海行は、私に、落ちるところへ落ちたという感じを少しも与えないからである...
高見順 「如何なる星の下に」
...其哀憐を求むれど聽かず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...感傷的な哀憐(あいれん)の刺戟(しげき)を感じたものらしく...
徳田秋声 「仮装人物」
...あのバガウトフをつけ狙っていたではないか! 刃を棄てて哀憐の氣持に移りたいと念じながら...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...何う致しましたら」夫の眼へ哀憐を乞うように「田舎へでも――」と...
直木三十五 「南国太平記」
...過ぎし世の町に降る雪には必ず三味線の音色(ねいろ)が伝えるような哀愁と哀憐とが感じられた...
永井荷風 「雪の日」
...天主の御哀憐によりて安らかに憩わんことを アーメン...
永井隆 「長崎の鐘」
...然も肉落ち眼窩凹めるの状を想見すれば一片哀憐の念禁ぜず...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...深い哀憐(あいれん)が動きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...話してみちゃどうだ」平次の声は威圧から哀憐(あいれん)に変っておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...さうして以心伝心に同じ哀憐の情が三人の上に益々深められてゆくのを感ずる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...女は同情や哀憐の情を知つてはゐない...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...評論一冊の傍に『朝の風』のあるということに独特な哀憐もあるわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...限りない嘆賞や哀憐やの諸諸について...
室生犀星 「抒情小曲集」
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