...本篇一○頁上段に「表てのみは一面に氷りて朝に戸を開けば飢ゑ凍(こゞ)えし雀の落ちて死にたるも哀れなり云々」の語あるを以ツて人或は独乙は温かき生血を有する動物が凍死する程寒威(かんゐ)凛烈(りんれつ)の国なるやと疑ふものあり...
石橋忍月 「舞姫」
...賢愚おしなべて哀れはかない運命の波に浮沈する盲亀の面貌である...
高村光太郎 「美の日本的源泉」
...あの特有な哀れつぽい眼で彼の顔を見上げるのである...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...芭蕉も憂きわれを淋しがらせよ閑古鳥といひ、また旅人と我名呼ばれん初しぐれともいつたが、旅にさすらうて、折にふれつゝ人の世の寂しさ、哀れさ、またはゆくりなく湧き來る感興を味はふほど私にとつての慰藉はない...
近松秋江 「伊賀、伊勢路」
...しかし妊、不妊がいかに人為のことでないかを示すようで、一入(ひとしお)、哀れ深い、とも言えなくない...
外村繁 「澪標」
...哀れである...
外村繁 「澪標」
...その代りに何ともいえない哀れさ寂しさがその中に一杯になってくるように思われた...
中島敦 「斗南先生」
...その哀れな生活を束(つか)の間ながら活気づけてくれた輝かしい客に廻りあったと思うとたちまちにして...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...妾どものような世にも哀れな女が...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...さあ、膝を突いて立っておれ! 少しは餓(ひも)じい目を見るがよかろう!』こうして、哀れな少年は、何の咎とも分らずに、膝頭を擦りむきながら、一昼夜の飢えを忍ばねばならないのだった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...――朝になって、その哀れな男は、そのボートが、毎日行きつけている場所に――おそらく、勤務のために行かねばならぬ場所に――拾い上げて繋いであるのを見つけて、言いようのない恐怖に打たれる...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...嫌疑は哀れなランシング大尉にかかっておるが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...哀れな光景だが、軽蔑されるだけだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...到頭哀れなアナキネはジュノーのために蜘蛛にさせられてしまった...
宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
...「哀れなお君を面倒見てやって下さい...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...明日からは五月梅雨ですから、おお哀れ犀星よ、汝の茶腹をいかんせん、というところです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...思っただけの平凡な歌より詠(よ)まれなかったのであろうと受け取った薫は哀れに思った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...どうぞ俺を哀れんで呉れ...
村山槐多 「悪魔の舌」
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