...その上に秋海棠(しゅうかいどう)のような微紅(うすあか)い草花の咲いた鉢(はち)を乗せてあるのが見えた...
田中貢太郎 「青い紐」
...・をさない瞳がぢつと見てゐる虫のうごかない・くもりつめたく山の鴉の出てきてさわぐ・てふてふひらひらとんできて萩の咲いてゐる・いちにち雨ふる土に種子を抱かせる其中漫筆行乞と魚釣...
種田山頭火 「其中日記」
...留守居の豌豆咲きつづくふと三日月を旅空にちよつぴり芽ぶかせて人を待つてゐる青蓋句屋・花ぐもりピアノのおけいこがはじまりました・どこの山の蕨だらうと噛みしめて旅四月廿五日黙祷・松のみどりのすなほな掌をあはす若葉へあけはなちだまつてゐる・雀のおしやべり借りたものが返せない・春寒抜けさうで抜けない歯だ・天龍さかのぼらう浜松の蠅をふりはらふ浜名街道・水のまんなかの道がまつすぐ四月廿六日曇...
種田山頭火 「旅日記」
...花(はな)が三つ四つ咲(さ)いたじぶんの或(あ)る日(ひ)...
新美南吉 「牛をつないだ椿の木」
...それから、油屋のお咲と、紙屋のお早に氣をつけろ」「へエ――」ガラツ八の八五郎は、平次の息のかゝつた下つ引全部を動員して、湯島一丁目から金澤町、御臺所(おだいどころ)町、妻戀町一帶に網を張らせ、少しでも怪しい者があつたら引つ縛(くゝ)るやうにと指圖をして置いたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...門のきわの竹の垣根に朝顔が咲いている家からはいい音がきこえていた...
長谷川時雨 「西洋の唐茄子」
...それ等の咲き揃(そろ)うのを楽しむのは私一人(ひとり)だけであろうと言う想像なんかをしていると...
堀辰雄 「美しい村」
...このウツギの花の咲いた井戸端なんぞには...
堀辰雄 「晩夏」
...ふつうに栽培(さいばい)して花を咲かせていて...
牧野富太郎 「植物知識」
...カラタチの花が高いところに白く咲いていた...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...咲枝はじめてその写真を見て...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いうことに……(しかし長く尾を引っぱったお咲の泣声は止もうとはせぬ...
三好十郎 「斬られの仙太」
...沖縄では年中咲いていたような気がする...
山之口貘 「梯梧の花」
...ほらりと梅が咲く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...さすがの胡蝶陣(こちょうじん)に妙(みょう)をえた咲耶子(さくやこ)も...
吉川英治 「神州天馬侠」
...竹童(ちくどう)と咲耶子(さくやこ)をとりでにのこして...
吉川英治 「神州天馬侠」
...もう咲耶子(さくやこ)はこっちへもらいうけたぞ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...こんな糜爛(びらん)した官能的な肉慾主義を謳歌(おうか)する一群の花畑がどうして咲かれたのかと怪しまれるほど...
吉川英治 「新書太閤記」
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