...しかし恐竜のために命からがら逃げだして...
海野十三 「恐竜島」
...僕は生命からがら喫茶店ギロンから脱出したというわけさ……」と云って帆村は...
海野十三 「獏鸚」
...二人は命からがらここまで落ちのびて来たのである...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...命からがらであった...
太宰治 「春の盗賊」
...まったく命からがらといったふうで...
永井隆 「長崎の鐘」
...命からがら逃げ出して来たなんぞは...
中里介山 「大菩薩峠」
...「これは驚きました、これは恐れ入りやす」ケシ飛ばされたのをたて直して、いざりよって来たところを、お絹が火鉢の炭を火箸(ひばし)でつまみ、片手でゾロリとした羽織の袖口をひっぱって、「さあ、お前のようなおっちょこちょいに、この羽織をくれた人は誰だか、言っておしまい、それとも、どこからちょろまかしたか、それを白状おし」「これは驚きました」「言わないとこうだよ」お絹は、そのゾロリとした羽織の紬口をひっぱったその上へ、火のかたまりをあてがったから、金の野郎驚くまいことか、「白状しますから御免下さい」「さあ、言っておしまい」「白状致します、白状は致しますが、それをお聞きになって、あなた様がお気を悪くなさるといけません」「冗談(じょうだん)じゃない、お前のようなおっちょこちょいの、のろけを聞かされたって、ドコの国に、気を悪くなんぞする奴があるものか」「では申し上げちまいますが、それは、あの実は、両国の女軽業の親方のお角さんから拝領の品なんでございます」「え!」「そうらごらんなさい、あなた様、お気を悪くなさるんじゃございませんか」「知らないよ」「だから、最初から申し上げないこっちゃございません」「ばかばかしいにも程のあったものさ、このおっちょこちょいに、こんな羽織を恵むなんて――ほんとうに、見世物師でもなけりゃ出来ない芸当だ」「それにはね、それで、曰(いわ)くがあるんですから、まあお聞き下さいまし」「曰くなんぞは聞きたくないよ」「まあ、そうおっしゃらずにお聞き下さいましな、拙(せつ)がこの羽織をいただくまでには、涙のにじむような物語があるんでございますよ、あだやおろかの話じゃございません」「何にしたって、こんな羽織は、この野郎には過ぎ物だよ」「そう、おっしゃられては二の句がつげませんが、実はごしんさま、なぐられ賃ですよ、なぐられ賃に、お角さんからこの羽織をいただいちまったんでございますよ」「よく殴(なぐ)られる男だねえ」「しかも、その殴られっぷりが、あなた様のなんぞとは違って、ずいぶん手厳しいものでございましたからね、一時は、息の根が止まるかと思いましたよ、命からがら、両国橋まで逃げのびて、そこでやっと、息をついて命拾いをしたような始末でございます」「ふーん」「それから、二三日前に伺いますてえと……」「まあ、それほどの目に逢いながら、またずうずうしく出かけたのかい」「なあに、さすがの金公も、暫くは敷居が高うございましたが、あの親方が、熱海から湯治(とうじ)帰りと聞いたもんですから、恐る恐る伺ってみますと、そこは江戸ッ児ですから、さらりとしたもので、以前のことなんぞは忘れて下すって、金公、この間は痛い目をさせて気の毒だった、これがお前に似合うようなら着てごらんといって、くだし置かれたのがこの羽織なんでございます、何といっても恐れ入った気前でございますよ」そこでお絹の顔の色の変ったことが、この野郎にはわからない...
中里介山 「大菩薩峠」
...命からがらああして逃げては来たが...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほとんど命からがらの体(てい)で逃げかえって来たのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...命からがら逃げたことでした...
新美南吉 「手袋を買いに」
...文字通り命からがら...
林芙美子 「雪の町」
...彼は身を翻して命からがら逃げ出しました...
A. ビアス A.Bierce The Creative CAT 訳 「羊飼いハイタ」
...命からがらロンドンへ逃げたのでしたが...
三浦環 「お蝶夫人」
...賄(まかない)部屋の勝手口から命からがら逃げ込む始末で御座いました...
夢野久作 「霊感!」
...命からがら城へひきあげたが...
吉川英治 「三国志」
...命からがら逃げのびてきた...
吉川英治 「三国志」
...これまでとばかり杜襲を伴って漢水へ命からがら逃げのびて陣を張った...
吉川英治 「三国志」
...安土を命からがら逃げ出したオルガンチノが最も怖れたところは...
和辻哲郎 「鎖国」
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