...「ご存じでしょうね、お父さんがどんなことをしたか」私がおどおどしていると、少年はやがて起(た)ち上って、私よりも背丈が低かったので、爪さきで背伸びをするようにして、私の耳もとに口を寄せると、私の名、それも呼名を、優しい、親しげな、美しい声で「ジュヌヴィエーヴ」と囁くので、私は水でも浴せられたように、背筋がぞうッとしました...
モオパッサン 秋田滋訳 「寡婦」
...現世(げんせ)の呼名(よびな)は小櫻姫(こざくらひめ)――時代(じだい)は足利時代(あしかがじだい)の末期(まっき)――今(いま)から約(やく)四百余年(よねん)の昔(むかし)でございます...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...「耳なし芳一」といふ呼名の下に彼の名声は全国に轟き渡りました...
稲垣巖 「父八雲を語る」
...うつせみの世を疾(と)く去りし昔の人の呼名(よびな)かと...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...此(この)ローナが同(おな)じ呼名(よびな)で知(し)らるゝ限(かぎ)り...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...三上家での呼名の清さんを...
豊島与志雄 「死因の疑問」
...その二通りの呼名に...
豊島与志雄 「白木蓮」
...僕の呼名は「イチオー」であつた...
中原中也 「金沢の思ひ出」
...おふささんと云う呼名を咄嗟(とっさ)に聞いたからでありました...
西尾正 「陳情書」
...誰が言ふとなく鼬小僧といふ呼名をつけてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「色氣のない呼名で氣の毒だが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...はかなきすねものの呼名(よびな)をかしうて...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...友達いやしがりて萬年町の呼名今に殘れども...
樋口一葉 「たけくらべ」
...友達(ともだち)いやしがりて萬年町(まんねんちやう)の呼名(よびな)今(いま)に殘(のこ)れども...
樋口一葉 「たけくらべ」
...あゝ彼の呼名はSだつたか! エスは有頂天になつて僕の脚にからみつかうとする...
牧野信一 「駆ける朝」
...哀れに美しきこの呼名かな...
正岡容 「下町歳事記」
...こういうむずかしい呼名の方なの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...モナクナは即ち元七・黒七の呼名らしいから...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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