...二人も慰さめかねて呆然と震へる細君の頭から肩のあたりを見てゐた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...われわれは呆然として手の下しようもないというのでは...
海野十三 「第五氷河期」
...魂を奪われた人のように呆然と成行を眺めて居たのである...
海野十三 「蠅男」
...久兵衛は呆然としてつっ立った...
田中貢太郎 「雁」
...私は紳士に盛り場の案内をたのまれた田舎漢のように呆然として了った...
戸坂潤 「友情に関係あるエッセイ」
...私はこの生命の発生の不条理に呆然となる...
外村繁 「澪標」
...呆然とした顔付だった...
豊島与志雄 「丘の上」
...呆然としていた眼を光らせた...
直木三十五 「南国太平記」
...ビロードのやうに青い波の上だよ私は裸身を水にしぶかせて只呆然と波に溺れたのです...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...ところで呆然としたこんな時の空想は...
林芙美子 「新版 放浪記」
...花の美しい襟足のあたりを呆然と手を束ねて眺めているのは見るも歯痒い有様...
久生十蘭 「魔都」
...合爾合(カルカ)姫は呆然と見守っている...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...あまりに突然の出来事に呆然として...
牧野信一 「夜見の巻」
...呆然として立ち居るとただ看る狐一疋近づき来る...
南方熊楠 「十二支考」
...呆然と顔を上げて...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...お絹は呆然と立ちすくむ...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...S=長屋三次はお絹の家の表戸に凭れて呆然として居る...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...電車がごとごとその上を辷っていくのを見たときの呆然とした自分...
横光利一 「夜の靴」
便利!手書き漢字入力検索