...呆然と空を見上げている義足の男...
海野十三 「地球盗難」
...私は机の前に呆然と坐って...
太宰治 「鴎」
...亡くなった当座は、呆然として、却って朝から酒など飲み、いかにも夢うつつのようであったけれど、こうしてひとりになってみると、急に空洞の大きさが感じられる...
外村繁 「夢幻泡影」
...直吉はただ呆然として...
豊島与志雄 「土地に還る」
...余はかういふ想に耽りつゝ船が磯へ掻きあげられるまで荷物と草鞋とを手に提げたまゝ呆然として立つて居た...
長塚節 「佐渡が島」
...途方に暮れて呆然としているばかりです...
野村胡堂 「古城の真昼」
...呆然として我を忘れた石川良右衛門に返しました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...死のうかさても侘しきあきらめかや真実友はなつかしけれど一人一人の心故……黍の葉の気ぜわしいやけなそぶりよ二十五の女心は一切を捨て走りたき思いなり片眼をつむり片眼をひらきああ術(すべ)もなし男も欲しや旅もなつかしああもしようと思いこうもしようと思う……おだまきの糸つれづれに二十五の呆然と生き果てし女は黍畑の畝に寝ころびいっそ深々と眠りたき思いなりああかくばかりせんもなき二十五の女心の迷いかな...
林芙美子 「新版 放浪記」
...久太夫は腕組みをしたまま呆然と縁石の傍に佇んでいたが...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...金五郎は呆然と立っていた...
火野葦平 「花と龍」
...札木合(ジャムカ)は呆然と妻の屍を見下ろして立つ時...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...呆然と佇立している...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...呆然とNの重味に堪へながら...
牧野信一 「舞踏会余話」
...あの試験場で放心的な眼を開いて呆然と窓外を眺めてゐたまゝの表情が...
牧野信一 「文学とは何ぞや」
...しかし香代は呆然として留吉を見守つてゐるばかり)志水 さうか! ……だけど...
三好十郎 「地熱」
...しばらくはその葉書をみつめたまま呆然としていた...
山川方夫 「愛のごとく」
...S=長屋三次はお絹の家の表戸に凭れて呆然として居る...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...荊州の守備兵はみな呆然とした顔つきで生捕られた...
吉川英治 「三国志」
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