...二人も慰さめかねて呆然と震へる細君の頭から肩のあたりを見てゐた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...私は何をしていゝかわからなくて呆然としてゐました...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...僕は言葉もなく呆然とその場に立ち尽したのだった...
海野十三 「深夜の市長」
...プールから飛びあがって呆然としていた入浴客は...
海野十三 「蠅男」
...呆然として博士の顔を見つめていた...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...」浦島は呆然とつつ立つたまま...
太宰治 「お伽草紙」
...亡くなった当座は、呆然として、却って朝から酒など飲み、いかにも夢うつつのようであったけれど、こうしてひとりになってみると、急に空洞の大きさが感じられる...
外村繁 「夢幻泡影」
...呆然としてしまった...
直木三十五 「南国太平記」
...呆然として、ただ立ち尽しているのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...しばし呆然とその後ろ影を見送って立ち尽している...
中里介山 「大菩薩峠」
...次の日は朝の程に鵜戸の窟にまうでゝ其の日ひと日は樓上にいねてやすらふ手枕に疊のあとのこちたきに幾時われは眠りたるらむ懶き身をおこしてやがて呆然として遠く目を放つうるはしき鵜戸(うど)の入江の懷にかへる舟かも沖に帆は滿つ渚にちかく檐を掩ひて一樹の松そばだちたるが...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...みんなは呆然としてしまつた...
新美南吉 「耳」
...二人は室の中にはいりながら呆然として居ましたが...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...あゝもせやうかうもせやうおだまきの糸つれづれに二十五の呆然と生き果てし女は黍畑のあぜくろに寝ころびいつそ深くと眠りたき思ひなり...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...金五郎は呆然と立っていた...
火野葦平 「花と龍」
...私はほとんど呆然として...
三好十郎 「歩くこと」
...若宮 …………(呆然と...
三好十郎 「冒した者」
...呆然となっている私の鼻の先に...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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