...◇大町の盆地をへだてた向うには籠川入りが吹雪の中で大きな口を黒くあけて待っていた...
石川欣一 「山を思う」
...左を向くとそこにも同じ自分の姿があった...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...刑事は自動車に帰ってくると、若者に向かって、「きみ、それならそうと、なぜいわなかったんだ...
江戸川乱歩 「鉄人Q」
...ただそれが暑い日向(ひなた)の光景であるために「暑さかな」と言ったのに過ぎないという程度のものでありますが...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...二人が彼の方を向いたからである...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...癲狂院(てんきょういん)か監獄へぶち込まれたのにそっくりだ!グーロフはその夜まんじりともせず向っ腹を立てていたが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...ふいとステーションへ独りで出向いて行った...
徳田秋声 「黴」
...もっとも、こうした傾向は、ひとりフョードル・パーヴロヴィッチばかりに限らず、多くの人、ときにはかなりに聡明な人にさえも、ありがちなものである...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...しかし広い道路を横切る時は、そうばかりとも行かないので、一旦地面へ降りて、路面を横切って、向う側へ行く...
中谷宇吉郎 「ウィネッカの秋」
...ねえあなた」と奥さんはまた私の方を向いた...
夏目漱石 「こころ」
...彼は吾輩の近づくのも一向(いっこう)心付かざるごとく...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一間半ほど向うのお粂の部屋の格子に掛けられないことはありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...壁の方を向いて坐ったまま夕方までしくしく泣いているのである...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...大庭春吉の顔が向いた...
火野葦平 「花と龍」
...星々の向こうや地の底の世界へと連れて行くから...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...下村!」中原は今しも百メートルばかり向ふの水面を浅く...
宮原晃一郎 「怪艦ウルフ号」
...あくまでその現実を理想へ向かって引上げるところに政治の本質がある...
矢部貞治 「政治学入門」
...あの小袖幕の向うにはきっと母も聴きに来ている筈だよ」そんなにお石の琴が評判になっていたのか...
山本周五郎 「日本婦道記」
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