...人々は名残惜しい焚火と別れて散り散りに退散する...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...・青葉へ無智な顔をさらして女ぽつきり折れてそよいでゐる竹で・こゝから路は松風の一すぢ養老院の松風のよろしさ・ともかくも麦はうれてゐる地平牛といつしよに寝て遊ぶ青い草緑平居葉ざくらとなつてまた逢つたひさ/″\逢つてさくらんぼ・がつちりと花を葉を持つて泰山木六月八日名残惜しい別れ...
種田山頭火 「行乞記」
...引上げてゲッチンゲンへ移るときはさすがに名残惜しい気がするのであった...
寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
...なんだか心細く名残惜しいような顔をしていたが...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...もし自分が関係を断つような事があっても女の方では別に名残惜しいとも何とも思わないように見える事である...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...いつ見納(みおさ)めになっても名残惜しい気がしないように...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...島耕二「新興へ定ったので名残惜しいが二の替りから休むよ」と言ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...九州へ渡ろうと思う」「何やらお名残惜しいことで」云ううちに...
吉川英治 「剣の四君子」
...――どれ、お暇を」「帰らるるか」道三は、一緒に立って、「聟どのの帰館とある、名残惜しい、そこまで、見送り申そうず」彼もまた、その日のうち、美濃の城地へ、帰るのだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...名残惜しいことではあるが――」強いて止めもならぬ気がして...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――では玉枝、ずいぶん気をつけて行くがよいぞ」「玉枝どの、お名残惜しいが、それではここで……」小禽(ことり)の声...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...それだのに自分はそれをさえさほどに名残惜しいとも思わない...
魯迅 佐藤春夫訳 「故郷」
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