...それならお名残りに一つ...
芥川龍之介 「世之助の話」
...地上には季節の名残りが山々の襞(ひだ)に深い雪をとどめて...
大阪圭吉 「坑鬼」
...今日ではただ僅かに名物という名残りをとどめるにすぎないのも故あるかなである...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...それも終戦後一年余りたった後のその名残りの...
豊島与志雄 「水甕」
...しかしこの伝統もまた三月九日の夜を名残りとして今は全く湮滅(いんめつ)してしまったのであろう...
永井荷風 「草紅葉」
...わたくしはこの堀割が綾瀬川(あやせがわ)の名残りではないかと思っている...
永井荷風 「放水路」
...今はかえって名残りを惜しんで...
中里介山 「大菩薩峠」
...門を入ると、かなり広い庭で、二階へ通ずる梯子段(はしごだん)が、縁側から直ぐ通じて居りますが、昨夜の名残りで、其辺が何んとなく荒れて居ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...(昔の名残りの葛籠(つづら)の底から...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...それらの音響試験をした名残りだったのである...
久生十蘭 「悪の花束」
...名残りが惜しくて...
久生十蘭 「あなたも私も」
...自信のある敏捷との名残りを...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...名残りを惜みながら何処かへ飛び去りました...
宮原晃一郎 「竜宮の犬」
...名残りに残したその声がまだ四方に消えぬ内...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...田園地帯の名残りをとどめているので...
柳田国男 「故郷七十年」
...江戸情調の名残りは明治の末年まで続いて...
山本笑月 「明治世相百話」
...江戸前名残りの蒲焼どろ臭いのに馴れた東京人惜しいのは江戸前の鰻(うなぎ)の味...
山本笑月 「明治世相百話」
...お名残りを惜しませられませ...
吉川英治 「私本太平記」
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