...最前電車の中で味った幸福の名残りのごとく見えた...
芥川龍之介 「路上」
...彼は二三年前の事業熱の盛んであつた名残りであらうと思つた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...失礼な機会(チアンス)の風にあおられた洋袴(スカアト)――多くの場合それは単にスカアトの名残りに過ぎないが――の下から...
谷譲次 「踊る地平線」
...名残りの雨が落ちかかった...
豊島与志雄 「反抗」
...去りゆく秋の名残り...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...馬鹿囃子(ばかばやし)を興行するために特に組み上げた櫓の名残りであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...表面はべっとり名残りの柴泥を被っている...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...いわば古代魚の名残りなのである...
中谷宇吉郎 「異魚」
...門を入ると、かなり広い庭で、二階へ通ずる梯子段(はしごだん)が、縁側から直ぐ通じて居りますが、昨夜の名残りで、其辺が何んとなく荒れて居ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...名残りの円蓋(えんがい)で数珠(じゅず)かけ鳩(ばと)が...
オマル・ハイヤーム 'Umar Khaiyam 小川亮作訳 「ルバイヤート」
...名残り惜しさは少しも感じなかつたが...
林芙美子 「浮雲」
...厭アね……昔のこの辺の野武士とかの名残りか知ら...
牧野信一 「昔の歌留多」
...この家も今夜一と晩の名残りかと思うと...
矢田津世子 「茶粥の記」
...また狐との長年の親しみの名残りを示している...
柳田国男 「故郷七十年」
...ダ行がかつてはラ行に近かった時代の名残りではないか...
柳田国男 「故郷七十年」
...それなら眉子山房のあのヨルダン河の水を見た以来の苦しさの名残りだと気がつき...
横光利一 「旅愁」
...名残りを惜しんで何度も呼んだ...
吉川英治 「私本太平記」
...今生(こんじょう)の名残りを得させ賜(たま)われ――)と...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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