...同県人といふ感じが渠をしてよく国訛りを出させる...
石川啄木 「病院の窓」
...「ふむ」と、小説家は咽喉をつまらせて、今の女の一生を思ひ、それから、少年を――その顔は、腫れあがつて赤味を帯び、眼も細く、破れた着物の下には襯衣(シヤツ)があるが身体中の瘡蓋(かさぶた)のつぶれから出る血や膿(うみ)にところどころ堅く皮膚にくつついてゐた、銅銭の紙包と一しよにボール紙を持つてゐて、――それには、この子は両親も身寄もなく、しかも遺伝の病気で困つてゐるからどうかめぐんでやつてほしい、と云ふ意味の文句が、同県人より、お客さま(!)と書き副へて記されてあつたのを見ると、彼は繁華な通に出て号泣し、前に置いた箱の中へ、一銭の喜捨を乞ふ少年にちがひなかつた...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...―――「友人安藤一郎氏を御紹介する右は小生(しょうせい)の同県人にて小生とは年来親しくしている人なり君の会社に勤めつつある某社員の身元に就(つ)いて調べたい事項があるそうだから御面会の上宜敷(よろしく)御取計いを乞う」―――もう一枚の名刺を見ると...
谷崎潤一郎 「途上」
...話し合っているうちに同県人だったので...
種田山頭火 「四国遍路日記」
...同県人で、ああして一緒にいる……...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...また藩主の祖先を祭った東雲神社の社務所で同県人の能楽を見た...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...開会の詞は東洋協会理事の同県人門田正経氏が述べられて私もちょっと挨拶した...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...幸ひに君と同県人の佐々木鉄窓氏と小国(をぐに)露堂氏がゐる...
野口雨情 「札幌時代の石川啄木」
...同県人で予備門から後(のち)文科へ入(い)った男が有ったが...
二葉亭四迷 「平凡」
...また同県人に坂井次永(さかいじえい)...
森鴎外 「渋江抽斎」
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