...そして飾り気のない姿の可憐さと...
有島武郎 「フランセスの顔」
...私はこの欧羅巴(ヨーロッパ)の片隅に「存在をゆるされて」いるブラッセルの可憐さ――それは孤児の少女に似た――をいまだに大事にこころの底にしまいこんでいる...
谷譲次 「踊る地平線」
...香折の可憐さに傾いて来たことも事実でした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...暫(しば)らくはその新鮮さと可憐さに魅惑されて...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...これは世に言ふ美人ではなく、日蔭に咲いた虫喰ひ牡丹の莟のやうな、一種の可憐さと、弱々しさと、そして若さとの異樣な混合で、人の心に喰ひ入る、いぢらしさを持つて居る顏といふべきでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...少女の心情に似た優美の可憐さを...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...あの幽雅なものごしと可憐さを...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...道の遠きに可憐さうなれど...
樋口一葉 「大つごもり」
...だけれど彼の子も華魁(おいらん)に成るのでは可憐さうだと下を向ひて正太の答ふるに...
樋口一葉 「たけくらべ」
...声までが王のそれと寸分違はぬ甘味と艶と可憐さとを含んでゐた...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...一緒(いっしょ)にいる時は可憐さが不足を補って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私は曾つてラ・ミゼラブルのジヤン・バルジヤンに連れられた少女コゼツトの美しさと可憐さとを書いたことがある...
室生犀星 「愛の詩集」
...庶民の食慾をうたひ、野性、自由、可憐さ、衆愚性、その夢など、牛鍋のコゲつくばかりな匂ひを濛々と感じさせる詩である...
吉川英治 「折々の記」
...霧に濡れゆく六ツの袂(たもと)の可憐さにみな見送っていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...さして美人でもないこの娘の可憐さを...
吉川英治 「新・水滸伝」
...しかしお軽のあまりな可憐さを見ると...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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