...あなた――あの方は全く眞面目な方なの? 口先だけの出任せをいふ人ぢやありませんか?ノラ そんなことはありませんわ...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...おお神さま」見ると女は、口先だけで、神の名を称(とな)え、そしてその眼は、仏天青の眼に、じっと注(そそ)がれていた...
海野十三 「英本土上陸戦の前夜」
...曾呂利が、一つ男らしく立って、口先だけでも、トラ十をがーんとやりかえすといいと思うのだったが、曾呂利本馬は、いつも無口で、小学一年生のように、えんりょぶかく、よわよわしい性格のように見え一度もやりかえしたことはなかった...
海野十三 「爆薬の花籠」
...ただ口先だけの証言ばかりですから...
大阪圭吉 「あやつり裁判」
...今晩はと……それだけが瑕で……口先だけの挨拶をしました...
豊島与志雄 「肉体」
...ただ口先だけで感心しながら...
豊島与志雄 「野ざらし」
...口先だけで云ってみた...
豊島与志雄 「反抗」
...」口先だけで軽い返辞をして...
豊島与志雄 「反抗」
...要するに不幸な人なんだ」これだけなら口先だけとしてもまず立派なのであるが...
夏目漱石 「明暗」
...それは口先だけのことで...
新美南吉 「百姓の足、坊さんの足」
...」喧嘩になると思つてゐた武助さんは、張合(はりあひ)が抜けて、口先だけで、ものをいつてゐたのである...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...自分はそんな口先だけではなく...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...口先だけの遊蕩児である身の程を顧みて...
牧野信一 「渚」
...口先だけぢや皆来るとは言つてゐたが...
三好十郎 「地熱」
...気ちがい爺いめ!(口先だけは...
三好十郎 「樹氷」
...わたしの議論がただわたしの口先だけのものか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...王者の仁を施すに口先だけの人でない」こういう心中を打ち明けて...
吉川英治 「三国志」
...だが、それほど愚鈍とも見えない内匠頭と思うと、或は、知っていながら、慇懃と口先だけ、出すべき実質の物を出さないで済ませようとする狡(ずる)い手ぐちかもしれないと邪推(じゃすい)した...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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