...獨身の老人には無慈悲に取りつくあの錆ついた融通の利かない習癖に煩はされずに濟んでゐた...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...中にはいるとわたしが困りますから」葉子は取りつく島もないようにといや味な調子でずけずけとこういった...
有島武郎 「或る女」
...書生上りの人などがよく取りつく商売である...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...そうですと答えてその場を取りつくろってくれたのかも知れない...
太宰治 「佐渡」
...なんとかしてこの場をうまく取りつくろつてやらうと努めるのである...
太宰治 「道化の華」
...体裁を取りつくろってみました...
太宰治 「恥」
...わずかにお体裁を取りつくろっていた次第なのだ...
太宰治 「パンドラの匣」
...或る日の合戦に戦場に於いて行くえ不明になったかの如く取りつくろい...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...例の獅噛火鉢(しがみひばち)の周囲(まわり)に取りつくと...
中里介山 「大菩薩峠」
...取りつくしまもありません」お君も口惜しさうでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...役割部屋へ入って行くと、みな懐(なつか)しがって、寝ころんでいたやつまで、はね起きて来て、右左から、先生、先生、と取りつく...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...身軽にロープに取りつくと...
久生十蘭 「地底獣国」
...いいなさんな」取りつく島が...
火野葦平 「花と龍」
...博士に相談しても彼は簡単に事実を打ち消すばかりで取りつく島がない...
平林初之輔 「人造人間」
...見てゐる多田君は取りつく島を失つたやうな空しさを覚えた...
北條民雄 「戯画」
...どうも取りつく島もないぞ...
牧野信一 「熱海線私語」
...人前を取りつくろふために...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...取りつくろわれた形をとおしてだけ見るのです...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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