...行儀よく作られた苗坪ははや一寸ばかりの厚みに緑を盛り上げている...
伊藤左千夫 「春の潮」
...一フィートもしくはそれ以上の厚みのパルプ状の枝のかたまりをなし...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...裸体にしてみるとその胸板には思いのほかの厚みがあって体じゅうに溌剌(はつらつ)とした健康感が溢(あふ)れているのに...
谷崎潤一郎 「鍵」
...群集の幾層もの厚みを示していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...意外の厚みを持つらしいのが多い...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...雲の厚みを落ち切った時に...
中谷宇吉郎 「雨を降らす話」
...雲の厚みからさして...
萩原朔太郎 「宿命」
...こまかいさまざまの辛苦が、大町さんの誠実な人柄のうちにうけいれられ、こなされ、選択され、方向をととのえ、明日の日本のよりよい生活の建設のために献身する女性として、十分の厚みと、暖かさと、がんばりとなって来ている...
宮本百合子 「大町米子さんのこと」
...それはとりも直さずその作家が自身の心にもっている複雑性の把握の厚みの反映ですから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...内容とか作品の厚みとかをすぐ読み分けるかんを持っているから...
室生犀星 「芥川の原稿」
...我々の武器の重さや厚みなどを考えてみると...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その昔のものに負けない上質の厚みある品をこの岩坂で作り出したのであります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...たくましい厚みとまるみと...
山本周五郎 「あだこ」
...温かく、重たく、そして粘るように軟らかな妻の躯が、妻の躯の弾力のあるまるみや、厚みが、自分の背中にじんわりと押しつけられるのを感じながら、甲斐はやはり無抵抗に動かなかった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...それは重なり合って這い出ようとする虫の厚みであった...
横光利一 「上海」
...世の荒波を押し渡って来てなお衰えぬ厚みがあった...
横光利一 「旅愁」
...この机の厚みが一インチある...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
...日本絵の具といえども胡粉を多量に使用することによって厚みや執着力を印象することは不可能であるまい...
和辻哲郎 「院展遠望」
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