...卒然として来り我等を茫莫(ママ)のうちに残すもの...
芥川多加志 「四人」
...彼は卒然として思い当った...
梅崎春生 「狂い凧」
...僕は卒然として昨日の野呂の言葉を思い出した...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...辻褄の合わぬ奇妙な一枚の絵を描き残したまま卒然として怪しげな変死を遂げてしまったのは...
大阪圭吉 「闖入者」
...羽抜鳥(はぬけどり)卒然として駈(か)けりけり六月二十七日 丸之内倶楽部俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...卒然としてその奥義を察知するにいたり...
太宰治 「不審庵」
...卒然として之に對すれば相當大きい堆積であり數人の力では一通り眼を通すさへ困難な位であるが...
橘樸 「支那を識るの途」
...卒然として往年かの二艦を横浜の埠頭(ふとう)に見しことを思い出(い)でたる武男は...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...卒然として機関説排撃運動へと戦線統一を企てることが出来るようになった...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...それで卒然として立ち上ったものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...その問題は「卒然として答えるにはあまりに多岐多端なことであるから...
中谷宇吉郎 「露伴先生と科学」
...卒然として冷かな鏡の裏を掠(かす)めて去った...
夏目漱石 「思い出す事など」
...その中から苦(にが)い餡(あん)が卒然として味覚を冒(おか)して来た...
夏目漱石 「坑夫」
...此一刻(いつこく)の幸(ブリス)から生ずる永久の苦痛が其時卒然として...
夏目漱石 「それから」
...暗中に卒然として白刃を見る思があった...
夏目漱石 「門」
...平次は卒然として往來に立停ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...之を見ると、私は卒然として、「ああ済(すま)なかった……」と思った...
二葉亭四迷 「平凡」
...その時に筆者は卒然として問うた...
夢野久作 「近世快人伝」
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