...卒然として生と相背き...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...獨り病室に委棄されて冷血なる看護婦の手に守られつゝある文太郎の屍に想到して彼は卒然として歩を病室の方に返した...
高濱虚子 「續俳諧師」
...卒然として古典の思想と現代とを結びつけるのが無意味であることは...
津田左右吉 「日本精神について」
...北支事変の発生によって政治的な挙国一致なる儀礼が卒然として社会的に発生し得るということのメカニズムは...
戸坂潤 「挙国一致体制と国民生活」
...卒然として神秘的なテーゼを持ち出して来る...
戸坂潤 「思想としての文学」
...決して卒然として思いつかれたものや何かではない...
戸坂潤 「辞典」
...雜誌の寄稿者たる佐治君に對して消滅しつゝあつた疑問が卒然として復起した...
長塚節 「教師」
...卒然として容赦なく食道を逆(さか)さまに流れ出た...
夏目漱石 「思い出す事など」
...あるものは人間交渉の際卒然として起る際(きわ)どき真味がなければ文学でないと云う...
夏目漱石 「作物の批評」
...すると、平岡は急に様子を変えて、落ち付かない眼を代助の上に注いだが、卒然として、「そりゃ、僕も疾(と)うから、どうかする積りなんだけれども、今の所じゃ仕方がない...
夏目漱石 「それから」
...高柳君は卒然として帽子を取って...
夏目漱石 「野分」
...その時彼の心を卒然として襲って来たものがあった...
夏目漱石 「明暗」
...人形だけを渡して置きました」「エッ」鯛六の顔色が卒然として変りました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...平次は卒然として往來に立停ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...之を見ると、私は卒然として、「ああ済(すま)なかった……」と思った...
二葉亭四迷 「平凡」
...卒然として價値の顛倒が齎された...
森田草平 「「青白き夢」序」
...さしもの鈍物が卒然としてさめた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...孫次郎の顔に卒然として力が溢れた...
山本周五郎 「おもかげ抄」
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