...社の同僚に逢坂といふ男があつて、その厭味たつぷりな、卑しい、唾でもひつ掛けてやりたいやうな調子が、常に我々の連中から穢い物か何ぞのやうに取扱はれてゐた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...この卑しいつくり笑ひをなさる禅師さまをひどくお嫌ひなのではなからうか...
太宰治 「右大臣実朝」
...すぐその角封筒の中味(なかみ)を調べるような卑しい事は致しませんでした...
太宰治 「きりぎりす」
...岡村君の贅沢は決して卑しい慾望に起因するのではなく...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...何といふ汚ない卑しい夢であつたか...
種田山頭火 「其中日記」
...そこら散歩、練兵を観たり、吸殼を拾ふたり、……卑しいな、情ないなあ!夕方から柿の会三月例会、一洵、三土思、無水、藤君、和蕾の五君だけ来庵、今晩は女性を欠いだ、なごやかな句座であつた、席上で朱鱗洞句碑建立の具体案がやゝまとまつたのはよかつた、十一時頃散会...
種田山頭火 「松山日記」
...もし卑しい嫉妬(しっと)という感情がいくらかあったとしても...
徳田秋声 「仮装人物」
...低級な思想、卑しい妥協、また彼が数か月来住んでいた腐爛(ふらん)空粗な雰囲気(ふんいき)などにたいして、早晩反動が来るべきであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...さつきの卑しい思ひを誘はれたいやらしさが...
林芙美子 「瀑布」
...左様(そん)な浅ましい卑しい了簡は決してないと申して...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...卑しい庭師には分かりっこないから...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...役に立たないカラ元気ばかりを煽りたてゝゐるんだ――卑しい妄想と...
牧野信一 「明るく・暗く」
...「この金持の娘は、金に卑しい...
牧野信一 「鏡地獄」
...卑しい法律書生でも云ひさうなことだ...
牧野信一 「蝉」
...何気なさを装うた卑しい眼付で素早くあたりを見回すと...
牧野信一 「白明」
...卑しい体の部であるから小さくした...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...妾などという卑しい境涯から脱けられるなら...
山本周五郎 「松林蝙也」
...小さい卑しい詭計(きけい)が...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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