...彼は自分の人格が聊かも憤慨に價しないほど卑しいところも汚いところもない人格だと云へないことを悲しいと思つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...田川夫人という女はどこまで執念(しゅうね)く卑しい女なのだろう...
有島武郎 「或る女」
...狗(いぬ)のやうに卑しい眼つきをした...
薄田泣菫 「茶話」
...育ちの卑しい馬鹿な女ですから...
太宰治 「ろまん燈籠」
...勿躰ないも卑しいからといふ諺にあてはまるやうではいけない...
種田山頭火 「其中日記」
...本来卑しいところのない子供なので...
徳田秋声 「チビの魂」
...ある無情な狭量な醜い卑しい利己的な批評家に送った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...卑しい召使の位置を生涯(しょうがい)の分と心得ているこの作と...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...青年時代にザルツブルクの卑しい地位に我慢の出来なかったのもまた自尊心の発露である...
野村胡堂 「楽聖物語」
...嘘は悪いばかりでなく、卑しいことよ...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...少しでもそんな卑しい了見があつたら...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...ヤレ自然の美だ風韻(ふういん)だのと大層高尚(こうしょう)らしい事を唱える癖に今の文士は極(ご)く下品な卑しい忌味(いやみ)な文章を書きたがる...
村井弦斎 「食道楽」
...この願望の熾烈な火は自分の中に潜んでゐる卑しいものや涜神的な情慾や不純な想念やと戦ひ...
室生犀星 「愛の詩集」
...主人から何か卑しい勤めを強いられるや...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それが医者としてどんなに卑しいことであるかを告げ...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...そこの廊下に三人卑しい風態の男が...
山本周五郎 「竹柏記」
...平八がそんな卑しいこと...
山本周五郎 「花も刀も」
...「そんな卑しい男と思うか」とか何とか眼も口も頬も額も...
夢野久作 「鼻の表現」
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