...人がらは至つて卑しい方で...
芥川龍之介 「地獄變」
...涙を人に見せるというのは卑しい事にしか思えなかった...
有島武郎 「或る女」
...「お前どつち―――だ」「卑しい稼業よ」「芸者面(づら)しやがつて威張(いば)るない」「いつ私が威張つて...
有島武郎 「骨」
...油虫、油虫、昼も夜も、こゝにもそこにもぞろ/\、ぞろ/\、私は油虫を見るとぞつとする、強い油虫、そして弱い私!山羊髯がだいぶ長くなつた、ユーモアたつぷりである、これが真白になつたらよからう、今では胡麻塩、何だか卑しい...
種田山頭火 「其中日記」
...そもそもあんな卑しい境涯(きょうがい)に身を沈めない前に泣きついて行くはずである...
近松秋江 「狂乱」
...常に必ず某問題は高く、某問題は卑しい、と考えることは許されない...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...クリストフが他の女を愛そうとは――しかもいかなる女か!――それは卑しいことであり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...クリストフをたまらない男だと思った心こんな卑しい煩わしい友にオリヴィエがどうして心酔してるか理解できなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...お雪は窓に坐っている間はその身を卑しいものとなして...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...「何んと言う卑しい風でしょう...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...港にゐる他の鼠達をことごとく卑しいものゝやうに見降しました...
牧野信一 「船の中の鼠」
...卑しい自分らといっしょに遠国へおつれすることを悲しんでいると父君のほうへほのめかしたいとも思ったが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今一歩で卑しい主計頭(かずえのかみ)の妻にされてしまう所などを読んでは...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...普通の官吏と結婚させるのを頼もしいことのように思って親たちが娘の幸福のためにそれを願うのは卑しい態度だ」とお言いになって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...何という卑しい勝利だろう! いまだかつていかなる野心も...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...――だがそのためにあんな卑しい事のできる人とは思えない...
山本周五郎 「いさましい話」
...我儘(わがまま)にじっとしていればすぐなおると云ってましたわ」「誰だそんな卑しいことを云ったのは」泰馬は眼を尖(とが)らせた...
山本周五郎 「おばな沢」
...やがて猿のような卑しい冷笑を...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??