...京都の三十三間堂には千体仏が祀られている...
...千体仏を見に行くために遠方から訪れる人も多い...
...千体仏の中には国の重要文化財に指定されているものもある...
...色とりどりの千体仏を見ると、心が癒される...
...千体仏の中に自分のお気に入りの姿を見つけることができる...
...お歳暮を持つて千体仏へ行く...
種田山頭火 「行乞記」
...吉例によつて、お屠蘇とお雑煮だけは缺かさない、独り者にも春は来にけり、さても結構なお正月で御座います、午後になつて出かける、まづ千体仏へ、老師はお年始まはりで不在、つぎに茂森さん宅へ、こゝも廻礼でお留守、――歩くのが嫌になつて、人間がうるさくなつて、そのまゝ帰つて来た、夕方、思ひがけなく元坊来訪、今夜また馬酔木居で会合することを約束する、何も御馳走するものがないから密(マヽ)柑をあげる、私はお雑煮やりそこなひの雑炊を食べて、ぶら/\新市街の雑踏を歩いて、馬酔木さんを訪ねる、いろ/\お正月の御馳走になる、十分きこしめしたことはいふまでもない、だいぶおそくなつてSの店に寄つた、年賀状がきてはゐないかと思つて、――が、それがいけなかつた、彼女の御機嫌がよくないところへ、私が酔つたまぎれに言はなくてもいゝ事を言つた、とう/\喧嘩してしまつた、お互に感情を害して別れる、あゝ何といふ腐れ縁だらう!暁、火事があつた、裏の窓からよく見えた、私は善い意味での、我不関焉で、火事といふものを鑑賞した(罹災者に対してはほんたうにすまないと思ひながらも)...
種田山頭火 「行乞記」
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