...魔は我が胸に重(かさな)りきて夢は千々に砕かれる...
泉鏡花 「おばけずきのいわれ少々と処女作」
...あけぼのはなやまし、月かげはすべていとはし、日はすべてにがし、切なる戀に醉ひしれてわれは泣くなり、龍骨よ、千々に碎けよ、われは海に死なむ...
アルテュル・ランボオ 上田敏訳 「醉ひどれ船」
...流は千々に異(かは)れども...
高山樗牛 「瀧口入道」
...などと思いを千々にくだいてみるのであるが...
太宰治 「虚構の春」
...千々に引き裂いて...
太宰治 「葉桜と魔笛」
...矢のような奔流に千々に砕けている...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...その声には千々に乱れた情愛の響きがあった...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...千々に思い乱れては涙も出ないのであろう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...月見れば千々に心の砕くる微温さは憎むべき哉...
中野秀人 「第四階級の文学」
...『古今集』に「白露の色は一つをいかにして秋の木の葉を千々に染むらん」という歌があります...
新渡戸稲造 「教育家の教育」
...わが心慰めかねつ更科や姨捨山に照る月を見て月見れば千々に物こそ悲しけれ我身ひとつの秋にはあらねど中庭地白ウシテ樹ニ鴉棲ム...
萩原朔太郎 「月の詩情」
...心を千々に砕くいまの逆境のほうをおれは愛する...
久生十蘭 「だいこん」
...彼女の胸は千々に砕け...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...春の曙の夢は千々に乱れて薄紅の微笑(ほゝえみ)...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...百千(ももち)に、千々に、心を苦しみ、砕いた揚句が、はじめてその結果圓朝は新作噺の自作自演ということに思い至った...
正岡容 「小説 圓朝」
...心は、千々に、迷って、迷った...
正岡容 「寄席」
...月見れば千々に物こそ悲しけれ我身一つの秋にはあらねどといふ歌は最も人の賞する歌なり...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...返って千々に物思う人ほど数の知れざる浜の真砂の上に立ち...
南方熊楠 「十二支考」
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