...この邸の主権者は自分だぞという気配が匂うようでもあった...
海野十三 「地獄の使者」
...姉がロイロット博士の煙草が匂うと...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 海野十三訳 「まだらのひも」
...威厳の美に匂う文体は...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...其所からは強い刺戟性を帯びた香料の匂が匂うて来た...
田中貢太郎 「黒い蝶」
...その夕桜のほの匂う谷あいの一郭が...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...若い血潮のほの匂う頬が...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...浮気らしいところの匂うのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...匂うようなのを言ったのであろう...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...角帽の頃の匂う水々しさは失せているけれども...
林芙美子 「晩菊」
...微風にうなずくたびに匂う肉桂(にっけい)園...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...爛漫(らんまん)として匂う弥生(やよい)のおわり頃...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...高く匂う花であったのは本懐であると思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私はもう一度短剣のサヤを払って澄み切った刃の鏡で自分の顔に最後に別れを告げてから築地へ急ぐ梅雨どきのアパートの天井裏にナマぐさくカビが匂ういよいよ今夜が最後だと思うとそこにしゃがんでいながら...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...夜眼(よめ)にも匂うような若い女の熱い顔は...
室生犀星 「野に臥す者」
...おっとりと匂うような品があった」清一は浅草瓦町の横町に自分の家を持ち...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...手に取るとさわやかに川水が匂うようであった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...夕日が遠い山の頂を射て藍青の峰が微(ほのか)に匂う...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...その匂うような葩(はな)の顔が...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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