...足の方では草と百合の新しい湿った匂がし...
石川欣一 「山を思う」
...昔の人の薫(た)きしめた香の匂が...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...花の匂いが潮の香と共に忍びやかに襲って来るようである...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...・霜晴れほのかに匂ふは水仙或る夜の感懐・死にたいときに死ぬるがよろしい水仙匂ふ・寝るとしてもう春の水を腹いつぱい・月夜雨ふるその音は春二月十八日春ぐもり...
種田山頭火 「其中日記」
...紫丁香花(はしどい)の匂っているのを感じた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...体に咽(むせ)ぶような香水の匂(におい)がしていた...
徳田秋声 「あらくれ」
...彼女は少しも匂わせなかった...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...蠅は旅籠屋や牛小舎に結構な匂ひを漂はし日の当つた床からは蝋を鱈腹詰め込むのだ...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...何やら重大さが匂ふのでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「あら、八親分、隨分久し振りね、私の家へ入らつしやるなんて、どんな風の吹き廻しでせう」格子につかまつて、まともに朝の陽を受けた顏が、咲き誇つた花のやうに、パツと匂ひます、二十五六の良い年増ですが、小柄で充實して、ホルモンでねり固めたやうな、魅惑と燃燒を感じさせる女です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...肉を焼く美味(おい)しそうな油の匂いがしていた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...松材で造った暑い部屋の匂いをかいだ...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...外套の襞からは焦げ臭い匂ひが立つ程だ...
堀辰雄 「ゲエテの「冬のハルツに旅す」」
...色も匂も失せた哀な姿となツてゐた...
三島霜川 「昔の女」
...いま秋だから野茨の花の匂のする筈はないとジヨバンニは思ひました...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...女のものなれば香料の匂いがする筈だ...
室生犀星 「蛾」
...初めて川魚を焼く匂いを嗅(か)いだとき...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...果物屋の店先きのような匂いを持って曝(さら)されていた...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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