...小さなラムプのえがらっぽいような匂いと...
有島武郎 「星座」
...桜花爛漫(らんまん)として旭光(きよくくわう)に匂ふが如き青史未載(せいしみさい)の黄金時代を作るべきを論じて...
石川啄木 「閑天地」
...花の匂いが潮の香と共に忍びやかに襲って来るようである...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...跡こそ替れ替りなき自然の工みわが匂ひ嶺に靉く夕暮は天女羅綾の舞ごろも斷片風に流れてはわれ晴空の孤月輪...
土井晩翠 「天地有情」
...二人とも臭い匂いがしていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...雪の小道を狐が走つてゐるのを見た丁度波のやうに体をくねらせて走つて行つたよ彼の人の山国の女郎屋の風景を思ひ浮べ乍ら台所の野菜箱のやうな私を侘しく思つたしめつた野菜箱の中に白つぽい蒼ざめた花を咲かせては泣いた私であつたにね…… オイ! 沈丁花の花が匂ふよ暗い邸の中から仄かな淋しい花の匂ひがする私は赤い花を月にかざしてみた貧しい画かきに買はれた花はプチプチ音をたてゝ月に開いてゐる...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...ミツシヱルの扉に鼻をつけて匂ひをかいだ...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...今にも匂い出さんばかりに咲き出していたのであった...
久生十蘭 「魔都」
...匂いをただよわす微風ともなり...
マクドナルド George MacDonald 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...「何だか苹果の匂がする...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...松やにの匂(にほひ)がしぃんとして青い煙はあがり日光はさんさんと降ってゐました...
宮沢賢治 「車」
...そこらぢゆうに匂つて...
室生犀星 「星より來れる者」
...隼人は檜の匂いに包まれながら...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...新らしい雪が匂った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...匂やかさをもつ色では...
吉川英治 「折々の記」
...房中もたちまち酒蔵のような匂いに蒸れた...
吉川英治 「三国志」
...壺の梅が、咲き匂っていた...
吉川英治 「源頼朝」
...しかも夜の更けるに従って温泉の匂いとも人間の垢の匂いともつかぬ不快な臭気がその騒ぎと共に畳を通して匂って来て愈々眠り難いものとなった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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