...すると荒削りの山の肌が...
芥川龍之介 「槍ヶ嶽紀行」
...巌が彼方此方に削り立って居るが...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...累(かさな)って敷く礁(いわ)を削り廻しに...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...骨を削り肉を刻むに等しい堪えがたい苦痛であるのが当然で...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...下の方をだんだんに削り取られ...
海野十三 「第五氷河期」
...荒削りな肌の細部を隠してしまったので...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...土だらけの里芋の皮を削り落そうとするとき...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...おれは白蟻のように噛み切ることはできないおれは飛行機のように軽快に空を飛ぶことはできないだが脳髄の中の空間に飛行船を遊歩させることはできる現在の頁を空白に削りとられた者の前には明日の希望が堂々と逍遥し始めるのぞき窓からのぞき込む鋭い二つの目も希望の青空を漂泊するおれの飛行船をのぞき得ないし...
陀田勘助 「おれの飛行船」
...白船君が山口行の途次、寄るかも知れないといふハガキを寄越したので、新菊を採り、ほうれん草を茹で、鰹節を削り、……そしてうどん玉を買ひに街へ出かけた...
種田山頭火 「其中日記」
...下方の桑畑の透いて見える根つこにも路のわきの削りとつた赤土の肌の上にも一面にふりそゝいでゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...纔(わづ)かに崖を削り取つてこしらへたといふやうなところを掠めて通つて行つた...
田山録弥 「山間の旅舎」
...木質(もくしつ)を削り...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...もっと荒削りに、私を打つとか捻(ひね)るとかして懲らしてくれたらどうですか...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...よく似合っておられます」「……なるほど……それでもあの頬の骨の形は日本人と違いますでしょ」「口の内側からお削りになったのだそうです」「……あはははあ……痛かったでしょう...
夢野久作 「暗黒公使」
...「その代りには両藩必死の鎬(しのぎ)を削り...
吉川英治 「剣難女難」
...一台のラセン削り器械を受け持って...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...饑(ひも)じさと、恐ろしさと、苦痛と、寒気と、そして他の座員の嘲笑とが、もう毎度の事だったが、黒吉の身の周りに、犇々(ひしひし)と迫って、思わずホロホロと滾(こぼ)した血のような涙が、荒削りの床に、黒い斑点を残して、音もなく滲(し)み込んで行った...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...名も知れぬ誰やらが歌つた、土用なかばに秋風ぞ吹く、といふあの一句の、荒削りで微妙な、丁度この頃の季節の持つ『時』の感じ、あれがひいやりと私の血の中に湧いたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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