...かちかちと生命(いのち)を刻むボンボンの下の帳場や...
石川啄木 「詩」
...馬車追(ひき)の老爺(おやぢ)は丁度厩の前で乾秣(やた)を刻むところであつた...
石川啄木 「天鵞絨」
...ちょきちょきと細(こま)かに俎(まないた)を刻む音...
泉鏡花 「霰ふる」
...碧童またこのことばを珍重し印に刻むといふ時代であつた...
小穴隆一 「二つの繪」
...あの煙草はナイフで刻むと刃がまっ黒になるのに...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「歌う白骨」
...ペン・ナイフで端から細かく刻む仕事に没頭していた...
谷譲次 「踊る地平線」
...もう一つは懐中時計でベットの頭の手すりにつるしてある――この二つの時計の秒を刻む音と...
寺田寅彦 「病院の夜明けの物音」
...眉根に皺を刻むことさえなく...
豊島与志雄 「憑きもの」
...あたかも暗闇(くらやみ)の中で時計の秒を刻む音をきくように...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...筋を刻むだけでは影薄いであろう...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...多くの伝説あるグロテスクを刻むことに慣らされた老石工も...
中里介山 「大菩薩峠」
...日を刻むに急なる様なれど...
夏目漱石 「薤露行」
...早間に刻む拍子木の音いろとともにスルスルと御簾が下りていった...
正岡容 「小説 圓朝」
...歴史的時間をば世紀を單位として刻むといふことは客觀的意味のあることでなければならぬ...
三木清 「歴史哲學」
...やがて女の児がつれ去られ泣きつかれた男の児はそのあとへ這い込む九歳のしなやかな日やけ色の手脚をまるめて名もなつかしいおじいさん椅子(グランドファザーチェア)はおだやかに 大きく黄ばんだ朽葉色気持の和むなきじゃくりとミシンの音は夢にとけ入り時計はチクタクを刻むとなりの子供はみんな出払った休日(やすみび)の宵...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...厩(うまや)の裏には馬糧(まぐさ)を刻む音が静かにして...
吉川英治 「新書太閤記」
...お女中でも台所人でも老臣でも若い者でも、手があいている折は、任意にそこへはいって、薬草を刻む...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...ギクギクと刻むでいつた...
若杉鳥子 「烈日」
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