...恋人のするような甘ったるい言葉は到る処に満ちていた...
田山花袋 「蒲団」
...ここはこの海岸にそうて三里のあひだ千尺二千尺ぐらゐのあざれた山脈から海のはうへ到るところ枝を出して無数の渓谷を形づくつてるその三つの枝のなかのひとつが根もとを水に浸蝕されて逆に楔(くさび)を打ち込んだやうなぐあひになつてるのである...
中勘助 「銀の匙」
...市の到るところにぶらさがつてゐる時代が來ることを豫測される...
長岡半太郎 「大阪といふところ」
...先生は晩年に到る迄...
中谷宇吉郎 「ツーン湖のほとり」
...堤防が到る所に築かれ...
野上豊一郎 「レンブラントの国」
...常に到る処に平和主義や...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...到る処に洋食屋が在って其の半数ぐらいは女給を募集して居る...
細井和喜蔵 「女給」
...短い感想を書いたが「黒谷村」に到ると作者の視野は忽然として趣を変へ...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...拡大するに立ち到るや...
三木清 「危機における理論的意識」
...歴史は樣々な條件のもとに於て書き更へられるに到る...
三木清 「歴史哲學」
...その段階では思い到ることの出来なかった生活の正義――たとえば女性の位置などについて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...到る処の水際(みずぎわ)に積み上げられて...
柳田国男 「海上の道」
...宿でも道でも到るところで調べられどおしでしたぜ...
山本周五郎 「新潮記」
...鬚野房吉博士の剥身(むきみ)に到るまで一切合財が天下の廃物ならざるはなし...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...到る処に鼓吹している...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...到る處の旅館はがら明きであつた...
吉江喬松 「山岳美觀」
...そしてその空虚はもはや彼女の周圍の到る處にあつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...さらに江尻から降りて三保の松原に到るあたりのことを書くべきであらうが...
若山牧水 「樹木とその葉」
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