...別して、私眼を驚かし候は、里、両手にてひしと、篠頸(うなじ)を抱き居り、母の名とはるれやと、代る代る、あどけ無き声にて、唱へ居りし事に御座候...
芥川龍之介 「尾形了斎覚え書」
...何度か越した徳本だが、別して、一度、長い辛い山旅を終り、もうすっかり静かになった上高地を後に、今は故人になった大町の玉作老人とここを越えた時は、一歩一歩に木の葉が散り、私はそれから出て行って生活せねばならぬ都会と、後に残して行く山との二つに、板ばさみになった自身の心を見出して、足は重かった...
石川欣一 「可愛い山」
...別して社会の諸事諸物...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...さらにこれを細別していちいちに名称をつけるが...
丘浅次郎 「我らの哲学」
...今日吾々が科学から区別している処の哲学として理解しようと欲する時...
戸坂潤 「科学方法論」
...数学と哲学(ディアレクティケ)とを区別して...
戸坂潤 「科学論」
...併し明らかに射影幾何学は直線と曲線とを区別して特に直線をその基礎に置くのではない...
戸坂潤 「幾何学と空間」
...この際必要なのはそれに対する一種の感覚や直覚である(範疇的直観という言葉をかりて所謂感性的な感性から区別してもいい)...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...之を彼女等特有の音聲で端的に區別してゐるのは頗る穿つたやり方と云はねばならない...
成瀬無極 「「トンネル」に就いて」
...室生君は詩に告別しても...
萩原朔太郎 「悲しき決鬪」
...大別して二つの系統にわかれて来た...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...もし一定期間にある国に生じた全出生が既婚と未婚を区別して記録されているならば...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...父に死別していた...
室生犀星 「津の国人」
...差別して内に迎え入れる方法は...
柳田国男 「雪国の春」
...かれらが自分じぶんの子を判別していることもよく知っていた...
山本周五郎 「季節のない街」
...そのような骨を老体に折らせては……分別してくるればそれでよいのじゃが……」「ハハ...
夢野久作 「斬られたさに」
...浮き流れる心――こういうものは故郷にいるときとは別して旅は早く移り変って抵抗し難いものがある...
横光利一 「旅愁」
...今と別して心忌ましい夜となっていたにちがいないと思った...
横光利一 「旅愁」
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