...別して、老婆の目をひいたのは、その小屋の前に、腕を組んでたたずんだ、十七八の若侍で、これは、朽ち葉色の水干に黒鞘(くろざや)の太刀(たち)を横たえたのが、どういうわけか、しさいらしく、小屋の中をのぞいている...
芥川龍之介 「偸盗」
...高下を甄別して心から善と美と高とを愛する意味に於いては人間並にノーブルな品性を持つてゐると信じてゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...あらかじめよく区別しておく必要を力説しておきたいと思う...
ピョートル・アレクセーヴィッチ・クロポトキン Pyotr Alekseevich Kropotkin 大杉栄訳 「革命の研究」
...秀才はその時詩を作って贈別してくれた...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「考城隍」
...『陛下及び滿廷の忠良(all your fair fellowship)別して圓卓の義團に神の惠福を祈り奉る(God bless……)...
テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 「アーサー王物語」
...御病気の節は別して御気分よろしからざる方なれば...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...之を彼女等特有の音聲で端的に區別してゐるのは頗る穿つたやり方と云はねばならない...
成瀬無極 「「トンネル」に就いて」
...室生君は詩に告別しても...
萩原朔太郎 「悲しき決鬪」
...大体において清濁を区別して書いたということは言えるのであります...
橋本進吉 「古代国語の音韻に就いて」
...区別して明瞭に理解されるには...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...この場所柄と時節柄とを弁別して規則あらしむるはすなわち心事の明らかなるものなり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...他人に向ってするのと自分に向ってするのとを区別していたのだ...
堀辰雄 「聖家族」
...要求のあった時は子供を判別して引き合させるためなのである...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...あまり一時に多数(あまた)の人を会合させるとかえって雑沓(ざっとう)するからそういう時は幾種(いくしゅ)にも区別して先ず第一は会費二円の食道楽会を毎月一回開く...
村井弦斎 「食道楽」
...「梶派の組太刀は別して烈しゅうござるが...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...かれらが自分じぶんの子を判別していることもよく知っていた...
山本周五郎 「季節のない街」
...旧来の梅津家の伝統と区別して華やかに披露をしたところから起った家名らしく...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...どんな悲惨と歓喜の晦明(かいめい)がはっきりと両者を区別して見せたであろう...
吉川英治 「剣難女難」
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