...鴎(かもめ)がちらちらと白く飛んで、浜の二階家のまわり縁を、行(ゆ)きかいする女も見え、簾(すだれ)を上げる団扇(うちわ)も見え、坂道の切通しを、俥(くるま)が並んで飛ぶのさえ、手に取るように見えたもの...
泉鏡花 「悪獣篇」
...切通し全体は、その鐘乳石が明るみにさらけだされた洞窟といった感じをわたしにあたえた...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...或る切通しの崖の上に建てた立派な家の庇が無殘に暴風に毀されて其儘になつて居るのが目についた...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...この引込線は全線に亙(わた)って深い切通しの底を走っているのだ...
コナン・ドイル 新青年編輯局訳 「臨時急行列車の紛失」
...今の芝の公園と愛宕の山との界(さかい)の所を『切通し』といった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...切通しの下を省線の走つてゐる道添ひに...
林芙美子 「浮雲」
...三田の切通し寄り...
久生十蘭 「ひどい煙」
...切通しを見おろす丘の上に此方を向いて腰をおろし...
三好十郎 「地熱」
...即ち南から切通しを経る道と...
森鴎外 「雁」
...切通しの家へ来いといった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...切通しの家は店造(みせづくり)で...
森鴎外 「渋江抽斎」
...人の智慧は切通しとなり隧道(すいどう)となり...
柳田国男 「峠に関する二、三の考察」
...東海道の諸国にてウタウ坂・謡坂などいうはすべてかくのごとき小さき切通しのことならん...
柳田国男 「遠野物語」
...そこから北よりに切通しができてからは廃絶してしまったが...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...切通しかもしれない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...切通しの晩の返礼は...
吉川英治 「江戸三国志」
...切通しの方へ真っすぐに駆け出した」先の足どりが早いとみえ...
吉川英治 「江戸三国志」
...湯島の切通し坂を登っていた...
吉川英治 「大岡越前」
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