...兎(と)に角(かく)朝比奈の切通しか何かをやつと通り抜けたやうな気がしてゐた...
芥川龍之介 「一塊の土」
...鴎(かもめ)がちらちらと白く飛んで、浜の二階家のまわり縁を、行(ゆ)きかいする女も見え、簾(すだれ)を上げる団扇(うちわ)も見え、坂道の切通しを、俥(くるま)が並んで飛ぶのさえ、手に取るように見えたもの...
泉鏡花 「悪獣篇」
...本郷切通しに山加屋という東京でも一流の呉服屋店があった...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...それから切通しの坂の上で別れた...
高濱虚子 「俳諧師」
...近頃の新しい畫學生の間に重寶がられるセザンヌ式の切通し道の赤土の崖もあれば...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...しかし或は家の方が先に建つて居たので切通しの方が後に出來たかも知れない...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...とある切通しへかかつたときに後ろをみたら兄たちの影がみえた...
中勘助 「銀の匙」
...切通しをのぼると...
新美南吉 「狐」
...――湯島切通しに屋敷を持つてゐられる...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...湯島切通しに屋敷を構へる...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...三田の切通し寄り...
久生十蘭 「ひどい煙」
...二六その夜更け――湯島切通しの...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...九つの私は父につれられて本郷の切通しだったか坂の中途にある薄暗いその楽器屋へピアノを見に行った...
宮本百合子 「親子一体の教育法」
...その家は湯島切通しから...
森鴎外 「雁」
...切通しの家へ来いといった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...切通しの坂をのぼりきッた所で...
吉川英治 「江戸三国志」
...切通しで、万太郎と金吾の為に、折角(せっかく)な場合を邪(さまた)げられて姿を消したが、かれは、それで諦(あきら)めて帰るような人間ではない...
吉川英治 「江戸三国志」
...暗い切通しを登りきって...
吉川英治 「大岡越前」
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