...息づかいさえ切ないのに...
泉鏡花 「悪獣篇」
...また切ないような眼で...
梅崎春生 「幻化」
...いやな切ない思いで...
太宰治 「葉桜と魔笛」
...哀れつぽい切ない声に変つた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...どうも咳が出て切ないから昼寝...
種田山頭火 「其中日記」
...ユウゴオの遺骨を收めた石の柩を指(ゆびさ)しつゝ何か物語つて居たのを見て如何に切ない羨望の情に迫られたであらう...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...泣くほどの切ないことがあるなら...
中里介山 「大菩薩峠」
...切(せつ)ないです」「それは切ないに違いない...
夏目漱石 「野分」
...都會への切ない郷愁を表象してゐる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...そのうへ情慾の言ひやうもありはしないしこんなにも切ない心がわからないの? お孃さん!輪と樹木輪の暦をかぞへてみればわたしの過去は魚でもない 猫でもない 花でもないさうして草木の祭祀に捧げる器物(うつは)や瓦の類でもない金でもなく 蟲でもなく 隕石でもなく 鹿でもないああ ただひろびろとしてゐる無限の「時」の哀傷よ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...なにか空しく切ない思ひである...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...もっともっと胸がしめつけられるように切ないものだ...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...そのこごしい山を何か切ないような気もちでときどき仰ぎながら...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...ジョージ卿の不名誉になるものも一切ない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...この偶像に切ない恋を捧げてゐる変質者であるかのやうな嘆きを覚えた...
牧野信一 「小川の流れ」
...そのような人々の切ない混りけない今の気持にのって山口のように生きようとしている男もあるのである...
「鏡の中の月」
...見ていた自分は急に胸が切ないようになり...
宮本百合子 「刻々」
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