...「米など残っているもんか」宇治は黙って男の分厚な肩を眺めた...
梅崎春生 「日の果て」
...分厚な請願書を当路の大臣宛に提出させた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...私が読むから聴いておくんなさい」老人は罫紙を分厚く綴ったものを取りだしてきて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...眼瞼の遊離縁も分厚く...
高村光太郎 「九代目団十郎の首」
...分厚い札たばというのも...
田中英光 「野狐」
...分厚なのがいいって...
直木三十五 「南国太平記」
...それ丈けの業(わざ)をするのは、一應筋があるだらう」「長崎の儲けを、長崎屋七郎兵衞とその弟の金之助が、用心棒の岡浪之進と一緒になつて、三人占めしたのが氣に入らないんだ相ですよ、――長崎の敵を江戸で討つ」「相手の素姓や名前はわかつて居るわけだな」「仲間は多勢あつたから、名前まではわからない相ですよ、尤も、二度目の火をつけた時、火の出た物置の外に、これが落ちて居たんだ相で」「何んだいそれは?」八五郎がでつかい財布から取出したのは、直径一寸ほどの、銀の分厚の錢、日本錢のやうに、眞ん中に穴があいたり、橢圓形だつたりするのでなく、まん圓で掌(て)に乘せると、心持どつしりして居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...縁取りが青くトルネ産の分厚い陶器皿が積み重ねられている...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...……(手提のなかから白い分厚な封筒をとりだすと...
久生十蘭 「金狼」
...圭介の母からいつも分厚い手紙を貰っても...
堀辰雄 「菜穂子」
...スリム氏が分厚い胸板を広げ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...うしろに置いてあった分厚い革鞄(かわかばん)を引き寄せると...
山川方夫 「お守り」
...その下敷になっていた分厚い棺の蓋を...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...……分厚い肩を屈(かが)め気味に...
吉川英治 「私本太平記」
...その分厚な体温を馴れ馴れとずり寄せて...
吉川英治 「私本太平記」
...分厚(ぶあつ)な蓋(ふた)がへだてているのでその意味(いみ)はわからないが...
吉川英治 「神州天馬侠」
...また勝頼の前後をかためてゆく旗本たちの分厚(ぶあつ)な鉄騎隊を見ても...
吉川英治 「新書太閤記」
...そのうえ窓の内側に分厚な毛織りのショールを垂れ掛けて...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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