...朝の光が涼しい風と共に流れ込んで、髮亂れ、眼凹み、皮膚の澤(つや)なく弛んだ智惠子の顏が、もう一週間も其餘も病んでゐたものゝ樣に見えた...
石川啄木 「鳥影」
...二低地になつた野菜畑の間を抜けて、まるでどこかの城跡の石垣めいた、頑丈な円石を積み重ねた堤防の上に次第上りに出ると、いきなり目の前に、日を受けて白く輝き、小山のやうに持上り、凹み、或る所では優しげになだらかな線を引いた、だゝつ広い河原の拡がりが現れて来る...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
......
坪井正五郎 「コロボックル北海道に住みしなるべし」
...例の二つの凹みのところを微かに脈搏(う)たせながら...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...凹みの縁(へり)にははりえにしだの藪が繁っていた...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...ホームズの要求によって私はその凹みの縁(ふち)を右の方へ辿って行き...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...彼は眼が凹み、額から頬へかけた肉附がすっきりして、その両者が不調和な対照をなしていた...
豊島与志雄 「別れの辞」
...掌の凹みから飲んだ...
直木三十五 「南国太平記」
...井桁の下の凹みに隠れて娘に古風な飛道具を吹き付けたのを...
野村胡堂 「古城の真昼」
...丁度人間の膝ッ小僧の跡位の凹みが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二つの中程にはやゝ大きい豆粒ほどの半圓の穴がそれ/″\に凹みを拵(こしら)へて居り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...眞ん中の眞圓の凹みに通ふために...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...樹の根方や取るにも足らぬような小さな凹みまで一々手で探って見る...
久生十蘭 「魔都」
...心理的な妙な凹みが癒って来ている...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...凹みという表現はなかなかうがっていますね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...斬るにしても慎重に! (ツッと炭焼竈の釜口の凹みに身を寄せて尾根――花道――の方を見詰める)今井 承知しました! (先刻自分の乗った岩の蔭に身を添えて峠道――自分達の出て来た右袖奥――を睨んで息をひそめる...
三好十郎 「斬られの仙太」
...餅を瓢箪(ひょうたん)の形に中凹みに平めて...
柳田国男 「雪国の春」
...壁の凹みには金銀製の動植物の像が一杯になっていた...
和辻哲郎 「鎖国」
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