...処々に脊を出してゐる黒い岩の辺(ほとり)などには...
石川啄木 「道」
...処々の講堂においても...
泉鏡花 「婦系図」
...例に因って、室々へ、雪洞が入り、白衣が出で、夫人が後姿になり、看護婦が前に向き、ばたばたばた、ばたばたと規律正しい沈んだ音が長廊下に断えては続き、処々月になり、また雪洞がぽっと明(あか)くなって、ややあって、遥かに暗い裏階子(うらばしご)へ消える筈(はず)のが、今夜は廊下の真中(まんなか)を、ト一列になって、水彩色(みずさいしき)の燈籠の絵の浮いて出たように、すらすらこなたへ引返(ひっかえ)して来て、中程よりもうちっと表階子へ寄った――右隣が空いた、富士へ向いた病室の前へ来ると、夫人は立留って、白衣は左右に分れた...
泉鏡花 「婦系図」
...其頃ペンキ塗の船体を処々(ところどころ)の埠頭(はとば)の夕暮の中に白くくつきりと見せて居た...
田山花袋 「朝」
...野梅(やばい)の若木が二三本(ぼん)処々(ところ/\)に立つて居(ゐ)るばかり...
田山花袋 「父の墓」
...草花に処々(ところどころ)釣り下げたる短冊(たんざく)既に面白からぬにその裏を見れば鬼ころしの広告ずり嘔吐を催すばかりなり...
寺田寅彦 「半日ある記」
...処々に小さな家が建ってはいるものの...
豊島与志雄 「白蛾」
...彼方(かなた)遥かに広々した閑地の周囲の処々(しょしょ)に残っている練塀(ねりべい)の崩れに...
永井荷風 「日和下駄」
...路はまだ処々で煙り...
原民喜 「夏の花」
...ただ処々にチラホラと...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...処々経めぐりながら終に四国へ渡つた...
正岡子規 「犬」
...独り楽天の文は既に老熟の境に達して居てことさらに人を驚かすような新文字もないけれどそれでありながらまた人を倦(う)まさないように処々に多少諧謔(かいぎゃく)を弄(ろう)して山を作って居る...
正岡子規 「徒歩旅行を読む」
...という喜ばしげな声は処々で人々の口より聞えた...
正岡子規 「病」
...これを一種の占方(せんぽう)のように考える風は今も処々の田舎にあり...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...わからないと母親(おっかさん)が云うもんですから……処々(ところどころ)拾い読みしてもらってもチンプンカンプンですから……ただ金兵衛さんの名前が所々(ところどころ)に書いてあって...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
...処々(ところどころ)は意味が通じないらしく二三度読み返した処もあった...
夢野久作 「暗黒公使」
...処々に零(こぼ)したやうに立つてゐる赭ちやけた砂山と...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...処々(しょしょ)に唸(うめ)いたり...
吉川英治 「宮本武蔵」
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