...(八)の三やや急な西向の傾斜、幾年(いくとせ)の落葉の朽ちた土に心地よく下駄が沈んで、緑の屋根を洩れる夏の日が、処々、虎斑(とらふ)の様に影を落して、そこはかとなく揺めいた...
石川啄木 「鳥影」
...泥や血の汚点が処々に着いていて...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...川の西方にも平地が処々にある...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...落下傘(らっかさん)のように世界中の処々方々に舞い降りるのです...
太宰治 「美男子と煙草」
...此処辺(こゝいら)は冬になると処々ジメジメした霜解(しもどけ)の土が終日乾かず...
谷崎潤一郎 「The Affair of Two Watches」
...処々(ところ/\)に茅葺(かやぶき)屋根が見える...
田山花袋 「父の墓」
...魂を失つた人間の多いのを私は処々(しよ/\)に見る...
田山録弥 「墓の上に墓」
...階段も処々崩れていたが大体においてその形を残している...
知里真志保 「あの世の入口」
...処々愚劣な色彩を有たぬでもない...
戸坂潤 「社大党はファッショ化したか?」
...社会が処々に作ってる淀みのなかの...
豊島与志雄 「意欲の窒息」
...皺(しわ)だらけの老婆が髪を島田に結ひ顔には処々(ところどころ)に膏薬(こうやく)張り蓆(むしろ)を抱(かか)へて三々伍々(さんさんごご)相携へて橋辺(きょうへん)を歩む夜鷹(よたか)を写生したる画家なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...新しきものの処々にまだそのまま残されている昔のままの節附(ふしづけ)を拾出す果敢い楽しさのためである...
永井荷風 「妾宅」
...彼方(かなた)遥かに広々した閑地の周囲の処々(しょしょ)に残っている練塀(ねりべい)の崩れに...
永井荷風 「日和下駄」
...白兀(シラハゲ)、赤兀(アカハゲ)など、いずれも細い立樋(たてどい)に似た峡間に、残雪が、あまりの急斜にたまらず、処々割れたり、ズレたりして、木っぱを積んだ風に懸っている...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...山谷の処々を遍歴して画作に従事し...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...雨水の処々に溜った地面(じづら)を一筋細長く照出した所を見ると...
二葉亭四迷 「平凡」
...処々経めぐりながら終に四国へ渡つた...
正岡子規 「犬」
...処々の橋の袂、又は藪の片端などに、榎であらうか今散りますとでも云ふやうに、忽然として青い葉をこぼし始め、見て居るうちに散つてしまふ木がある...
柳田國男 「ひじりの家」
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