...その横に寄り添っている凄艶なる女性――それこそ田鶴子に違いなかったが...
海野十三 「千早館の迷路」
...又鬢がほつれて額にかゝつて憐れ氣にションボリと坐つて居る細君の凄艶な姿は能く五十嵐の心を柔らげるに足るのである...
高濱虚子 「俳諧師」
...ほんのり透いて見える凄艶(せいえん)さです...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...この凄艶(せいえん)な雪の上に嬉々(きき)として戯(たわむ)れ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...黒ずくめの喪服に日頃の凄艶さを包んだ夏姫の旅姿には...
中島敦 「妖氛録」
...くり返しくり返し執拗に出て来る妖悪凄艶な主題が...
野村胡堂 「死の舞踏」
...キリリと眼を釣って睨み上げた凄艶さ...
野村胡堂 「礫心中」
...大分底が入っているようすで、張りのある目元をほんのりと染め、足元をふらつかせながら土蔵仕立の重い引戸の前に立ってジロジロと二人の方を眺めていたが、急にキッとした唇を噛むと、懐手をしたままスラスラと二人の側に寄って来て、突っ立ったまま、凄艶な声で、「おや、御馳走さま...
久生十蘭 「魔都」
...どんなに凄艶なものだろうと思っているうちに...
久生十蘭 「黄泉から」
...ましてや仲之町張りの凄艶の美人小夜衣を今語るには...
正岡容 「寄席」
...凄艶豊志賀の狂い死にまでにあるとこれまた...
正岡容 「我が圓朝研究」
...むしろ凄艶な光をたたえてじっと私の額に熱い視線を射りつけたのであった...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...その刻々に迫るような凄艶(せいえん)ともいうべきものの裏にあるものを読み尽くそうとしていた...
室生犀星 「姫たちばな」
...凄艶な工女がひとり参木の方を睨んでいた...
横光利一 「上海」
...死顔というべくあまりに凄艶です...
吉川英治 「江戸三国志」
...見るからに凄艶な年増女であった...
吉川英治 「大岡越前」
...凄艶な癆咳(ろうがい)の女と刀の姿とが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...ふてくされた、凄艶な頬を、海風に、鬢(びん)の毛が嬲(なぶ)っている...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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