...その時分から冷静な兄は...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...人生の説明者たり群集の木鐸たる文人はヨリ以上冷静なる態度を持してヨリ以上深酷に直ちに人間の肺腑に蝕い入って...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...もうそういう冷静な思考力や判断力なぞは...
橘外男 「仁王門」
...此の機に乗じて筑摩家を亡ぼしてやろうと云う冷静な打算と胆略とが知らず識らず働き出したことになるのである...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...ほんとうの学問のために冷静な判断を下し...
寺田寅彦 「時事雑感」
...最も冷静なるべき科学者自身すら往々にして忘れがちな事である...
寺田寅彦 「相対性原理側面観」
...冷静な科学的調査を前提としなければ...
中井正一 「調査機関」
...その瞬間僕の目に映じたお民の容貌の冷静なことと...
永井荷風 「申訳」
...客観はきまって「冷静なる客観」であり...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...冷静な気持ちで、丈夫な絹紐(きぬひも)に前もつて、べつとりと濃く石鹸を塗りつけておいて、死ぬにも、なるべく痛くないやうな心づかひをしたと云ふ一文は、スタヴローギンの憎々しいばかりの冷さが感じられて、富岡は、その当時、一種の反感を持つてゐたものだ...
林芙美子 「浮雲」
...いぜんとして冷静な口調で...
久生十蘭 「キャラコさん」
...樽野の頭にも冷静な実験家が現れなければならなかつた...
牧野信一 「村のストア派」
...そして彼の飽くまで冷静なる眼光は...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...本当にただ膏薬の貼り替えをしていただけなんです」「あの人には藤井という老女が付いている筈ですわね」「ええ付いています」「どうしてその老女がしないで万三郎さまがなさいますの」つなは冷静な声で云った...
山本周五郎 「風流太平記」
...そうして、その冷静な、すきとおった判断にかけて、イヨイヨ間違いがないと思われると、やっぱりスマアしてニコニコしたままお膳を下げて、お湯に這入(はい)られるのでした...
夢野久作 「奥様探偵術」
...冷静な頭の持主でも意外に思うであろう……光明の中心×暗黒の核心=X……とも形容すべき告白である...
夢野久作 「冗談に殺す」
...すぐにまた医者らしい冷静な威容を作って...
若杉鳥子 「浅間山麓」
...冷静な理論よりもむしろ狂信的な情熱を必要としたのであろう...
和辻哲郎 「埋もれた日本」
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