...顏を洗つて了ふまでに夏の川水位に冷えた...
石川啄木 「菊池君」
...その都度樹木に特有な冷えびえとした黴臭い生薬(きぐすり)のやうな匂が...
薄田泣菫 「独楽園」
...尚其邊の空氣の冷え切つてゐる中に...
高濱虚子 「俳諧師」
...さて飯がムレたら完全に冷えるまで冷ました後に手に塩をつけて固く握る...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...すこぶる上気(のぼ)せ性の癖(くせ)にまたすこぶる冷え性で盛夏(せいか)といえどもかつて肌に汗(あせ)を知らず足は氷のようにつめたく四季を通じて厚い綿(ふきわた)の這入(はい)った羽二重(はぶたえ)もしくは縮緬(ちりめん)の小袖(こそで)を寝間着に用い裾(すそ)を長く曳いたまま着て両足を十分に包んで寝(い)ねそれで少しも寝姿が乱れなかった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...「冷えるところへ持って来て...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...そして布半(ぬのはん)の温泉で冷えた体をあたゝめ...
徳田秋聲 「霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ」
...「御飯が少し冷えてますね」「冷えてるのはいいが...
夏目漱石 「虞美人草」
...足がガラスのように固く冷える...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...「めつぽふ冷えるぢやねえか……...
林芙美子 「雪の町」
...どうして僕はこんなに冷えきつているのか...
原民喜 「心願の国」
...冷えきつた大地よ...
原民喜 「心願の国」
...行き過ぎた後は冷え冷えとした震えを残す...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...やがて足は氷の如く冷えてしもうた...
正岡子規 「病」
...時候が冷え出すと夜具蒲團さへ不足勝ちだといはれてゐた...
正宗白鳥 「避病院」
...その中へ林檎の裏漉しにしたのを入れてよく掻(か)き交(ま)ぜてそれから器(うつわ)ごと水の中へ漬けると寒い時には一時間位で冷えて固まります...
村井弦斎 「食道楽」
...欄干の鉄の冷えているのがいつかまた旅の日の夜を思い出させて来るのだった...
横光利一 「旅愁」
...その冷えて行く美しき死骸に...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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