...私は学校を出てから四年の間一度もよりつかなかつたやうな冷淡な卒業生であつた...
伊藤野枝 「編輯室より(一九一五年五月号)」
...夜光命また冷かす...
大町桂月 「鹽原新七不思議」
...冷吉は甘く調べを遁れたやうにほつとした...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...底冷えして、路(みち)には大きい石ころがごろごろして、馬の糞だらけ...
太宰治 「八十八夜」
...……お願いですわ……」彼女は男の冷めたい手に触れて見て...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...彼れは純然たる無宗教的冷頭を有するを異なりとするのみ是れ彼れが自由党に於ける信用の...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...高等学校寄宿舎(きしゆくしや)内に起(おこ)るいろ/\な逸話(いつわ)は早くから長吉(ちやうきち)の胆(きも)を冷(ひや)してゐるのであつた...
永井荷風 「すみだ川」
...あの手のこわくて冷たい無気味のさむらいのようなのに向って...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼(かれ)は冷(つめ)たい風(かぜ)の吹(ふ)き通(とほ)す土藏(どざう)の戸前(とまへ)の濕(しめ)つぽい石(いし)の上(うへ)に腰(こし)を掛(か)けて...
夏目漱石 「門」
...雲模様の冷い、風が、無人の坂道を吹き上げて、時々気違い染みた自動車が、恐ろしいスピードで二人の側をスッと飛んで行きます...
野村胡堂 「女記者の役割」
...お寅が殺されると忽(たちま)ち用心深く冷静になり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...これに因りて待遇に冷温を生ぜりとは余り受け取れぬ話なり...
正岡子規 「従軍紀事」
...砂糖ばかりを入れて冷してもようございます」小山「色々の法があるものですな...
村井弦斎 「食道楽」
...栄子は「冷(ひや)のほうがあとまできいていい」と云い...
山本周五郎 「青べか物語」
...北から吹く風が冷たく湖上を亙つて来た...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...あの混雜と血眼だけを冷眼視して...
吉川英治 「折々の記」
...夜露の冷気に甦(よみがえ)って...
吉川英治 「新・水滸伝」
...寒梅の香をふくむ冷(ひや)やかな夜気がそこへ浸(ひた)ってくる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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