...隣のT夫人が外から呼ぶので戸をあけて見たら月が墓地に冴えてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...神経が段々冴えて行くのであった...
岩野泡鳴 「戦話」
...冴えた神經が自分を眠らせて呉れない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...不意に切れはじめた雪の隙間から深く澄んだ星空が冴え冴えと拡がっていった...
大阪圭吉 「寒の夜晴れ」
...ちょうど窓の色硝子の色が年月とともに冴えてくるように...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...・落ちついてどちら眺めても柿ばかり・ゆふべうごくは自分の影か月夜のわが庵をまはつてあるく・月からこぼれて草の葉の雨夕雨小雨そよぐはコスモス・ぬれてかゞやく月の茶の木はわが庵は月夜の柿のたわわなる壺のコスモスもひらきました□しぐれてぬれて待つ人がきたしぐれて冴える月に見おくる月は林にあんたは去んだ十月十一日労(マヽ)れて朝寝...
種田山頭火 「其中日記」
...其中漫筆芸術は熟してくると、さびが出てくる、冴えが出てくる、凄さも出てくる、そこまでゆかなければウソだ、日本の芸術では、殊に私たちの文芸では...
種田山頭火 「其中日記」
...冴えきった冷い月の光が...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...変に不安な気持に頭が冴えて...
豊島与志雄 「林檎」
...切れの長い目は颯(さっ)と冴え返る...
中里介山 「大菩薩峠」
...私の聽覺は刺刀のやうに冴えた...
南部修太郎 「疑惑」
...国境の大山脈は真紫に冴えて...
牧野信一 「ゼーロン」
...老練な冴えを示して居ります...
牧野信一 「浪曼的月評」
...「王子の狐」に冴えを示した四世小さんもそれから月余...
正岡容 「滝野川貧寒」
...用が日に日にその美を冴えしめる...
柳宗悦 「工藝の道」
...品が好くて、腕が冴えている、というところから、異名が通ったものらしい御曹子――それは春日新九郎だった...
吉川英治 「剣難女難」
...紲車(きずなぐるま)一二月も近い空の寒々と夕冴えした黄昏(たそがれ)であった...
吉川英治 「源頼朝」
...眼をそらすと富士は昨日の朝の様に同じく深い紫紺の色に冴えて汽車のうしろに聳えて見えた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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