...少しくもや四方にこもれど月かげ冴けく研ぎすましたる鎌の如し...
上田敏 「月」
...リンリンリンと冴えた鈴の音を騒がせながら...
海野十三 「深夜の市長」
...天心まで透き徹るかとばかり瑠璃(るり)色に冴えて……南極圏近くにありながら...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...うれしいたよりが小鳥のうたが冴えかへる初孫が生まれて来るさうな! 私もいよ/\おぢいさんになる!……今日はぞんぶんに飲むつもりで出かける...
種田山頭火 「其中日記」
...何となく顔が冴(さ)え冴(ざ)えしていた...
徳田秋声 「黴」
...冴えた音を立てるものがあった...
豊島与志雄 「悪夢」
...竜之助の感はいよいよ冴(さ)えて眠れません...
中里介山 「大菩薩峠」
...只(たゞ)遙(はるか)に隔(へだ)つた村落(むら)の木立(こだち)の梢(こずゑ)から騰(のぼ)る炊煙(すゐえん)が冴(さ)えた冷(つめ)たい空(そら)に吸(す)ひこまれて居(ゐ)るのみで...
長塚節 「土」
...夜はいよいよ冴えて...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...その声が絹を裂くやうに鋭く静かな城中に冴え渡つた...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...涙ぐましい情景にも冴えを見せる...
正岡容 「寄席」
...筆の冴えは別にない...
柳宗悦 「赤絵鉢」
...長く置けば涸(か)れてきて色の冴えがなくなる...
柳宗悦 「野州の石屋根」
...やり口もこれに随(したが)って冴えて来たという...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...半日の余にわたる死闘、また死闘の物凄(ものすさま)じい血戦の後、月は山の肩に、白く冴えた...
吉川英治 「三国志」
...笛の冴(さ)えた音がながれてきた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...弦之丞の腕の冴えならぬあの姿に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...しかも描写の腕はすばらしく冴(さ)えている...
和辻哲郎 「孔子」
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