...いづれも内心では「人は文なり」と思つてゐるらしい...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...内心では恟(きょう)々としていた...
海野十三 「宇宙女囚第一号」
...「フン、ご苦労千万なことじゃ」岩瀬氏はへらず口をたたいたものの、内心では、寸分も抜け目のない女賊の用心を讃嘆しないではいられなかった...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...内心ではかなり理解に苦しむと見えて...
大阪圭吉 「坑鬼」
...内心では小一條の女御に對する御門の愛が...
田山花袋 「道綱の母」
...彼は権威を得また名声を博したにもかかわらず、内心では、少しも音楽に通じていないことを知っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...お松の内心では、疾(と)うからそこへ兵馬を引いて行きたいように見えないではありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...それでいて内心ではあの事が始終(しじゅう)苦(く)になるんです...
夏目漱石 「明暗」
...内心では始終(しじゅう)心配していた矢先だから...
夏目漱石 「門」
...内心では五十位かい? と聞くところを...
林芙美子 「浮雲」
...」皆は口々に斯んなことを云つたが、内心ではこの儘、R村に当分滞在すべき安心を覚えてゐたのである...
牧野信一 「川を遡りて」
...しかし彼自身としても、内心では、この仕事に自分だけの特別な悦楽を感じている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...内心では生きた気持もないものと信じ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ただただ驚嘆の目を見はるばかり、内心では、なにか外国の作品にヒントを得たものではあるまいかという懸念もうかんだほどの驚きであった...
森下雨村 「三十六年前」
...内心では色々と推理を組み立てては壊し...
夢野久作 「暗黒公使」
...――北条家との縁故などは、とうに薄れ去っておるし、日ごろのお口ぶりからも、鎌倉の悪政には、事ごと、お憤りをもらしておられる」「では、朝廷のお企てに、内心では、好意を寄せておられるものと、見てよかろうか」「……とも、お口には出したことはない...
吉川英治 「私本太平記」
...内心ではホッといたしておる癖に...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...五たとえまだ吉水へ残っている学僧たちでも、表面は平静を装っているものの、内心では、みな多少の懐疑を持っているらしく、「一体、栂尾(とがのお)の明慧の論は、念仏門のどこがいけないというのだろうか」寄るとさわると、それが話の中心になって、やはり気にかけているふうだった...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索