...作家と読者と批評家とを一身に兼ねて...
芥川龍之介 「羅生門の後に」
...そうして近所の女房が見兼ねて貸してくれた蒲団に子供達を寝かすと女房は自分の二人の兄弟に子供の行末を頼む書置きをして家を出て行つたのでした...
伊藤野枝 「火つけ彦七」
...かつその実験を兼ねて哲学館設立の趣旨をその地方の有志者に告げんため...
井上円了 「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」
...待ち兼ねていたように...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...竜之助は入り兼ねていささか躊躇(ちゅうちょ)した...
中里介山 「大菩薩峠」
...萬三郎は平次の心持を測(はか)り兼ねて――もう少し多くしなければならなかつたか知ら――と言つた疑ひに惱まされて居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夜の明けるのを待ち兼ねて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...小屋の取締りを兼ねて居る...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...淺黄の手拭が要るなら其邊で二三反買つて行かうぢやありませんか」見兼ねてガラツ八が口を出します...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...御近所の衆がびつくりするぢやないか」平次は見兼ねて戸口から聲を掛けます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ついたまり兼ねて放埒に身を持ち崩し...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...こんな入りの薄い晩のお客は周囲に気を兼ねて...
正岡容 「圓太郎馬車」
...麻袋へ入れ搾りし物にて黒く濃くして味渋みに甘きを兼ねていかさま仙薬ともいうべき物なりと...
南方熊楠 「十二支考」
...杉夫と敏ちゃんは入営見送りを兼ねて...
三好十郎 「樹氷」
...兼ねて社会の問題なのです...
柳宗悦 「民藝とは何か」
...去年から侍従を兼ねており...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...兼ねては彼が右馬允に昇官した披露目の意味もあろう...
吉川英治 「平の将門」
...終にその唄に耐え兼ねてずっと奥まった小さな部屋へ移して貰ったのであった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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