...第一義の生活に於いて、俺のやうに鈍根な、俺のやうに迷執の多い人間は他にあるまいと思はれるほど、俺は惑つて、困つて、ひつかゝつて、進み兼てゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...俺は兼てよりこゝに俺の苦しい問題があることを覺悟してゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...籾の始末と留守居を兼て...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...兼て聽いてゐた通りの氣候の急變――送金の待ち遠しさ――手放したお鳥に對する疑念――かう云ふことが渠のからだ中の神經のどの末端にも觸れて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...兼てより懇意(こころやすく)せし...
巌谷小波 「こがね丸」
...このことについては兼てより熟考しましたが私は巡回編集よりは寧ろ単独編集の方が永続しようと思います...
種田山頭火 「雑信(二)」
...「小生も兼て人を不忠とか不義とか...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...つい決し兼てぐずぐずしていた...
夏目漱石 「門」
...其の兼て期せし所は...
蜷川新 「天皇」
...彼の後醍醐の兼てより望を属せられし所は...
蜷川新 「天皇」
...どうでせう」主人又兵衞はこの爭ひを見兼て口を容れました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「兼て彼の地に於て病を得...
原民喜 「翳」
...兼て長官へ内々御話いたしたこともある通り...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...竜巻村の村長から兼て噂に聞いてゐたところの...
牧野信一 「風流旅行」
...お酌をしてゐるお米が見兼て仲に入つた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...抽斎の蔵書は兼て三万五千部あるといわれていたが...
森鴎外 「渋江抽斎」
...兼て引替御用を勤めてゐた...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...兼て用意のゴム長靴を穿いて出かけようとしたが...
夢野久作 「眼を開く」
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