...其の方を向くと船渠(ドック)の黒い細い煙突の一つから斜にそれた青空をくっきりと染め抜いて...
有島武郎 「かんかん虫」
...さうして其の方法は二つある...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...「でも、妙ね、然ういへば……何ですつて、蛙の聲が、其の方には、こがれる女の小玉だ、小玉だと聞こえたんですつて、こたまだ...
泉鏡花 「遺稿」
...姪は驚いて其の方へ眼をやった...
田中貢太郎 「阿芳の怨霊」
...其の方はどう思う」「へい」と云ったが...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...其の方たちにはもうおかまいがない」人夫たちの中に囁(ささやき)が起った...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...決して其の方たちにお咎めはない...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...啖いあわせなら其の方だちも同じようになるはずじゃが」「そりゃそうでございます...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...「あれ滅相な、其の方は、まあ武士の女房に」宅悦はいやしい笑いかたをした...
田中貢太郎 「南北の東海道四谷怪談」
...「美しい女が糸車を廻しております」「なに美しい女」「さようでござります」「それでは其の方が案内して...
田中貢太郎 「南北の東海道四谷怪談」
...其の方に恐ごわ眼をやっていた...
田中貢太郎 「魔王物語」
...それで其の方から出た一派は...
内藤湖南 「北派の書論」
...若し其の方法にして獨りこゝに遊ぶ人間に對して訓示するのみに止まらず...
永井荷風 「十年振」
...従って随分屡々其の方面の経験は有りましたが...
西尾正 「陳情書」
...」……自分は今凝と其の方を眺めてゐる……...
牧野信一 「その日のこと〔『少年』〕」
...で英人が印度を領するにも直接宗教には一切關係しないことを以て其の方針として居る...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...「ほんとに其の方がいいな...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...おふみは其の方へ行こうとせず...
山中貞雄 「右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法」
便利!手書き漢字入力検索