...何(いず)れの国にも優(まさ)っている国である...
石川啄木 「性急な思想」
...その挨拶を受けらるる時の奥方が、端然として針仕事の、気高い、奥床しい、懐(なつかし)い姿を見るにつけても、お蔦に思較べて、いよいよ後暗(うしろめた)さに、あとねだりをなさらないなら、久しぶりですから一銚子(ひとちょうし)、と莞爾(にっこり)して仰せある、優しい顔が、眩(まぶし)いように後退(しりごみ)して、いずれまた、と逃出すがごとく帰りしなに、お客は誰?……とそっと玄関の書生に当って見ると、坂田礼之進、噫(ああ)、止(やん)ぬる哉(かな)...
泉鏡花 「婦系図」
...その都度秘蔵娘のお桂さんの結綿(ゆいわた)島田に、緋鹿子(ひがのこ)、匹田(ひった)、絞(しぼり)の切(きれ)、色の白い細面(ほそおもて)、目に張(はり)のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない...
泉鏡花 「怨霊借用」
...このことは一見俳優に対する批評的立場と抵触するようだが...
伊丹万作 「演技指導論草案」
...探偵は少年の肩を両手で優しく叩いた...
海野十三 「恐怖の口笛」
...汝も口前(くちまへ)ばかりは古(こ)名優の面影がある...
薄田泣菫 「茶話」
...そういうような優し味を前掲の四句の中からは少しも見出すことができなかったのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...優しい手...
太宰治 「斜陽」
...あそこに腰かけている若い綺麗な映画俳優みたいな男のひと...
太宰治 「皮膚と心」
...次に自分を優雅に指さしながら...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...この言葉の中には欧米学界の優越に対する正当なる認識と尊敬を含むと同時に...
寺田寅彦 「工学博士末広恭二君」
...落語家で聞いたもののうちでは橘家円喬が断然優れていた...
中里介山 「生前身後の事」
...信さん有がたうと常に無い優しき言葉も出るものなり...
樋口一葉 「たけくらべ」
...その愛する者の肩の上に置いた手のなかの何といふ優美さ! そして繪入新聞の中に見かけらるるごときかかる悲哀の俗な動作も...
堀辰雄 「クロオデルの「能」」
...漢詩等に優り候ほどならば誰も俳句...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...ほとんど「神々しい」くらいに非合理に古めかしく「優美」になってしまった人たちの賛同を得ることは...
三好十郎 「恐怖の季節」
...優れた発達の歴史を有ちませんが...
柳宗悦 「北支の民藝(放送講演)」
...然るに上陸して見ると敵は案外に優勢であった...
和辻哲郎 「鎖国」
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