...其(そ)れでも食(く)ふや食(く)はずの儚(はか)なき境涯(きやうがい)...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...人間ほど儚(はかな)い情(なさけ)ないものはない...
田山花袋 「蒲団」
...行きずりの儚(はかな)くもあわただしい関係だの...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...いかに儚ない慰樂(いらく)を與(あた)へたことか?「さうだ貯(ちよ)金をしよう...
南部修太郎 「寫眞と思ひ出」
...(二月×日)積る淡雪積ると見れば消えてあとなき儚(はか)なさよ柳なよかに揺れぬれど春は心のかわたれに……...
林芙美子 「新版 放浪記」
...海ぞいの黍畑に立ちて何の願いぞも固き葉の颯々と吹き荒れるを見て二十五の女は真実命を切りたき思いなり真実死にたき思いなり伸びあがり伸びあがりたる玉蜀黍は儚なや実が一ツここまでたどりつきたる二十五の女の心は真実男はいらぬものそは悲しくむずかしき玩具ゆえ真実世帯に疲れるとき生きようか...
林芙美子 「新版 放浪記」
...なにか儚く、もの悲しく、そのまま陰府(よみ)へでもひきこまれるような気持がする...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...儚く過ぎ去り消滅するものだと考えられるけれども...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...自分の身の上が儚(はか)なく思われたことはないんですよ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...この儚(はか)ない玉の緒(お)が絶えましてもキットお側に付添うて致します...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...それは人にただ守られるだけの努力でやっと伝わってゆく儚ない礼儀のようなものかと思われた...
横光利一 「旅愁」
...儚(はかな)い!」と人をして...
吉川英治 「剣の四君子」
...夫婦の契(ちぎ)りはそのように儚(はかな)いものではありますまい...
吉川英治 「三国志」
...わけもなく、彼には、さむらいという者の住む世界が、儚(はかな)く、哀(かな)しくなってきた...
吉川英治 「私本太平記」
...その吉事の儚(はかな)く終らぬように...
吉川英治 「新書太閤記」
...子を育てて儚(はかな)い故主の御一門の御供養なとなされるがよい」と...
吉川英治 「新書太閤記」
...人間のような儚(はかな)い空骸(くうがい)や相(すがた)を止めないだけのことである...
吉川英治 「親鸞」
...儚(はかな)い先のたのみをつないでみたり――為に...
吉川英治 「源頼朝」
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